2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical, Computational & Data Science Studies on Interface Ionics for Energy Storage
Project Area | Science on Interfacial Ion Dynamics for Solid State Ionics Devices |
Project/Area Number |
19H05815
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
館山 佳尚 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, グループリーダー (70354149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 将伸 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10401530)
武藤 俊介 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (20209985)
井上 元 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40336003)
DAM HieuChi 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70397230)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 連続体計算 / インフォマティクス / データ駆動型AI解析 / 全固体電池 / 電気化学 / イオニクス / 拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
蓄電固体界面のイオン変調に関して、多様なスケールの先端的計算科学・データ科学解析アプローチを開拓し、さらに実験研究と緊密な連携の下、界面付近のイオン状態・移動に関する新規な知見を多数獲得した。 第一原理・古典力場計算のアプローチでは、これまで開発してきた界面構造高効率探索手法をLi/LATP/LCO界面などの電極ー固体電解質界面に適用し、界面安定構造に加えて、電子移動・イオン移動及びその温度効果に関する計算予測を試み、実験により予測性に関して一定の評価を得た。またNASICON系固体電解質材料などの粒界イオン伝導に着目し、界面構造の特徴量としてイオンの結合長・結合角分布、ボロノイ図形を採用し機械学習解析を行った結果、粒界構造とイオン伝導間に相関があることが確認され、特に界面中の空隙構造に最適値があることが明らかになった。メソスケール計算では、弾塑性変形を考慮した三次元離散要素法のモデル構築を行い、実際の複雑構造内を対象に固体接触界面での反応輸送現象に強く影響する応力場の計算を包含した、電気化学反応と連成させた新規計算モデルの構築に成功した。本計算によりヤング率等の材料力学物性が充放電特性に及ぼす影響を検証した。データ科学系では、LATP/LCOモデル界面のSTEM-EELSスペクトラムイメージデータに対して、従来の非負スペクトル分解法における課題を回避する対数尤度最大化法を新たに開発し、適用した。これにより、界面抵抗の温度変化の起源を明らかにし、さらに計算から予測された界面イオン移動を実験的に検証した。またLiCoO2正極の充電放電過程におけるLi分布の3次元画像に対して分布の重要な特徴を自動的に発見できるAI解析手法の開発や、LNMO正極の硬X線分光タイコグラフィ法によるX線吸収微細構造(XAFS)2次元画像に対して、AI解析を行いLNMO粒子中の結晶相の特定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画研究A03では、蓄電固体界面の構造および電子・イオン状態の(1)計算科学解析、(2)計測データ等と連動したデータ駆動型AI 解析、その上で(3)蓄電固体界面イオニクスの学理構築を目標としている。 (1)に関しては、複雑な電極ー固体電解質、固体電解質粒界界面の高精度高効率サンプリング手法を複数開発し、界面近辺におけるイオン変調(空間電荷層)・イオン移動に関する計算解析および機械学習解析アプローチの確立に大いに近づいた。メソスケール計算に関しては固体間接触とその応力効果を考慮した計算モデルを新たに構築し、応力効果・塑性変形・体積膨張収縮を考慮したイオン輸送・電気化学反応解析が可能となった。(2)については、TEM薄片試料加工法やSTEM-EELS/EDX分析条件のノイズの取扱い最適化によるデータ処理技術がほぼ確立し、深さ分解XAFSデータの解析法の開発を進めている。さらに計測2次元、3次元画像に包含されているイオン変調の特徴を自動的に発見できるAI解析手法の開発を行った。これらの開発・確立した手法をもとに、(3)の学理構築に向けて、界面近辺におけるイオン分布・イオン状態変化、イオン移動・拡散に関して、様々な新規原理を提案してきた。さらにこれらを統一的に取り扱う電気化学ポテンシャル・化学ポテンシャル理論の再構築まで進んでいる。本研究課題開始時に比して、格段に界面イオニクスに関する新しい知見が増加しており、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験研究と連携をさらに深化させ、蓄電固体界面の構造・イオン変調・電子状態に関する計算科学・データ科学研究をさらに加速させる。これまで主に扱ってきた電子的・化学的因子に加えて、力学因子・電気化学因子等の解析も深掘りし、界面イオニクスの学理構築に取り組むと共に、界面イオン輸送・イオン蓄積を促進する材料提案も目指す。 具体的には、これまでの計算研究から得られてきた、イオン・電子の電気化学ポテンシャルの描像を実験とより整合性の取れた形にすることで、界面イオン輸送の解析手法を確立する。さらに界面応力とイオン伝導パスの局所構造やネットワーク度の変化をも取り込んだイオン輸送の原理拡張を目指す。これらの微視的な理論解析に加えて、界面反応記述の基礎となる電気化学反応速度式の再考察も進める。さらに電極層構造など実用環境を想定したダイナミクスを対象に、充放電特性が予測可能なメソスケール計算モデルを構築する。 データ駆動型AI 解析側では、これまで開発してきたスペクトル分解法をさらに充放電後のモデル界面分析に適用し、界面層のナノレベルでのイオン移動、界面抵抗変化について詳細な解析を進めるとともに、微分位相コントラスト法による界面ポテンシャルの可視化技術、およびスパースモデリングによるEXELFS解析法の開発を進め、局所構造と電池特性の関連を明らかにしていく。さらに充放電過程における計測2次元、3次元画像に対して電気化学因子等を考慮した画像データ特徴の自動抽出AI解析手法の確立にも取り組み、界面付近でイオン移動描像のさらなる深化を目指す。 最終的に、蓄電固体界面科学の教科書を作成できるよう理論的な準備を今後も進めていく。
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Research Products
(64 results)