2008 Fiscal Year Annual Research Report
分光学的手法による生体π空間の制御機構解明と新機能の開拓
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108014
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神取 秀樹 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 教授 (70202033)
|
Keywords | π空間 / 生体分子 / 発色団 / 赤外分光 / アミノ酸変異 |
Research Abstract |
生体分子は進化の中で最適化されたπ空間の制御系であり、蛋白質などのナノ反応場が精緻な制御を可能にしている。とりわけ光受容蛋白質は、レチナール、クロロフィル、フラビンといった分子のπ電子系を制御することでユニークな色や反応、機能を産み出しており、ボトムアップ型の高次π空間を創製するにあたってのゴールともみなすことができる。本研究では、蛋白質による特異な波長制御、反応制御、機能制御に着目し、遺伝子改変によって変異を導入した光受容蛋白質に対して、赤外分光法などの分光学的手法を駆使した実験研究によりメカニズム解明を目指している。本年度は以下の成果を得ることができた。 ロドプシンの生体π空間制御では、海洋性バクテリアに存在するプロトンポンプ・プロテオロドプシンの色を変える特異な変異体を発見した。これまでの常識によれば、レチナール近傍のアミノ酸のみが波長制御に関わっていると考えられてきたが、我々はレチナールから遠隔部位のアミノ酸変異が色を変えるというこれまでの常識に完全に反した現象を発見したのである。また、新たに発見されたセンサリーロドプシンIに対する赤外分光解析を行い、既知のロドプシンとのレチナール発色団の構造歪みの違いを明らかにした。センサリーロドプシンIIの研究からは、機能と直接関係したレチナール発色団の捻れ構造を捉えることに成功した。フラビン蛋白質の生体π空間制御では、フォトトロピンの性質を決定するフラビン近傍のアミノ酸の役割を明らかにすることができた。 これらの成果も含め、2008年には14編の原著論文を世に出すことができた。また、研究を開始した平成20年11-12月には、2件の招待講演を含む27件の学会発表を行った。
|
Research Products
(43 results)