2011 Fiscal Year Annual Research Report
分光学的手法による生体π空間の制御機構解明と新機能の開拓
Project Area | Emergence of highly elaborated pai-space and its function |
Project/Area Number |
20108014
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
神取 秀樹 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (70202033)
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Keywords | π空間 / 生体分子 / 発色団 / 赤外分光 / アミノ酸変異 |
Research Abstract |
生体分子は進化の中で最適化されたπ空間の制御系であり、蛋白質などのナノ反応場が精緻な制御を可能にしている。とりわけ光受容蛋白質は、レチナール、クロロフィル、フラビンといった分子の_II電子系を制御することでユニークな色や反応、機能を産み出しており、ボトムアップ型の高次π空間を創製するにあたってのゴールともみなすことができる。本研究では、蛋白質による特異な波長制御、反応制御、機能制御に着目し、遺伝子改変によって変異を導入した光受容蛋白質に対して、赤外分光法などの分光学的手法を駆使した実験研究によりメカニズム解明を目指している。本年度は以下の成果を得ることができた。 視物質ロドプシンの生体π空間制御では、我々が色を識別する視物質に結合した水分子の信号を捉えることに成功した。具体的には、サルが赤と緑を識別する蛋白質を培養細胞で発現し、77KでのD_2OとD_2^<18>O中の差スペクトルの比較により、全波数の領域で水の信号を帰属することができたのである。 微生物型ロドプシンの生体_II空間制御では、11シス型をもったロドプシンを発見し、その物性を解析した。またセンサリーロドプシンπに含まれるクロライド結合部位やトランスデューサー認識部位の構造解析を行った。さらに微生物型ロドプシンを鋳型として視物質ロドプシンのループをもったキメラを作製したところ、G蛋白質を活性化することができた。 フラビン蛋白質の生体π空間制御では、(6-4)光産物を修復する光回復酵素の活性化や修復に伴う構造変化を捉えることに成功した。特に、同位体標識した(6-4)光産物を用いての実験により、修復に伴う基質側の信号を検出している。さらにBLUFドメインの構造解析により、異常に水素結合の強いチロシンの信号を捉えることができた。 これらの成果も含め、12編の原著論文を世に出すことができたが、これらはいずれも生体π空間の特異性に迫る実験研究と位置付けることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通り、進展しており、成果発表も順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画通り、順調に進んでおり、今後もこれまで通り、研究を推進する。問題点などは特になし。
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Research Products
(77 results)