2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素シグナル受容体蛋白質の分子制御:蛋白質S―グアニル化プロテオミクス
Project Area | Signaling functions of reactive oxygen species |
Project/Area Number |
20117005
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (20231798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 智裕 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (30284756)
岩井 純夫 鹿児島大学, 農学部, 教授 (50295276)
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Keywords | 活性酸素 / シグナル伝達 / プロテオミクス / 酸化ストレス / 生理活性 |
Research Abstract |
活性酸素シグナル伝達の分子機構は充分理解されていない。活性酸素・NOは、その最も上流に位置する分子群であるが、シグナル伝達機構の詳細(例えば、センサーと直接反応するのか?あるいは、二次メッセンジャーの生成をもたらすのか?など)は、これまでほとんど分かっていなかった。本申請者らは最近、生体の酸化ストレスに対する適応応答のシグナル伝達に関与するNOの全く新しい二次メッセンジャーである8-nitro-cGMPを発見した(Nature Chem Biol 2007)。本年度は、本申請者らが独自に開発した8-nitro-cGMPの高感度定量解析法を用い、細胞内における8-nitro-cGMPの生成メカニズムを解析した。その結果、誘導型NO合成酵素を発現するように刺激したラットグリオーマC6細胞では、従来NOの下流シグナルとして知られていたcGMPを凌駕するレベルの8-nitro-cGMPが生成することが明らかとなった。また、種々の阻害剤を用いた解析から、8-nitro-cGMPの生合成には、8-nitro-GTPを基質とした可溶性グアニル酸シクラーゼの活性が関わることが示唆された。さらに、8-nitro-cGMPによるシグナル伝達の下流に、Keap1に対する新しい蛋白質翻訳後修飾であるcGMP付加体形成(蛋白質S-グアニル化)を介して、転写因子Nrf2の核移行が亢進し、その結果、Nrf2制御性の抗酸化酵素(ヘムオキシゲナーゼ1)の発現増強による酸化ストレス応答が誘導されることを明らかにした。以上の結果より、8-nitro-cGMPは、活性酸素・酸化ストレスのシグナル伝達を担う重要なセカンドメッセンジャーであり、そのシグナル活性には、蛋白質S-グアニル化を介したNrf2依存的な抗酸化シグナルの活性化が重要であることが示された。
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Research Products
(34 results)