2023 Fiscal Year Annual Research Report
グリア・神経ネットワークの統合による脳内エネルギー代謝機構
Project Area | Glia decoding: deciphering information critical for brain-body interactions |
Project/Area Number |
20H05896
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 謙二 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (30329700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 広 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20435530)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Keywords | アストロサイト / 血管 / シナプス / 小脳 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
ファイバーフォトメトリー法で計測される蛍光シグナルは、局所血流量と細胞内のpHに強く影響を受ける。そこで計測シグナルから、目的検出分子(Ca2+等)の濃度、細胞内pH、局所脳血流量の変動を分離して推定する方法を編み出した(Ikoma et al 2023a)。この手法を用いて解析したところ、レム睡眠時に視床下部アストロサイトが酸性化(Ikoma et al 2023b)、マウス同士のケンカが解散する時には小脳グリア細胞のCa2+濃度が増加(Asano et al 2024)、不安な状態のマウスの手綱核アストロサイトのpHは酸性化する(Tan et al 2024)ことが示された。また、小脳バーグマングリア細胞の機能をChR2やArchTで光操作したところ、小脳運動学習のトレーニング中に生じるオンライン学習とトレーニング後の休憩中に生じるオフライン学習があり、グリア機能操作はオンライン学習だけに作用することが示された(Kanaya et al 2023)。さらに、自発的なてんかん様神経発振が生じるマウスでのモデルを作製したところ、海馬アストロサイトでのCa2+濃度上昇がてんかん様神経発振に先立つことが示された(Araki et al 2024)。また、脳へのエネルギー循環を担う血管動態を観察したところ、ゆっくりと水平方向に振れる縞模様の視覚刺激に対し、周期も位相も完全に同調した脳全体の血管の拡張・収縮運動が生じることが示された(Sasaki et al 2024)。このような血管運動による脳内エネルギー動態への影響を探る上で、これまで、血管径を光操作するオプトジェネティクスを開発してきたが、今回、血管平滑筋ではなくペリサイトのみを光操作してみたところ、ペリサイトにも収縮能があることが示唆された(Iba et al 2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファイバーフォトメトリーを用いた細胞内カルシウム計測が多くのラボで行われているが、そのデータに隠された情報、すなわち血流量と細胞内pHを推測する方法を明らかにしたことは意義がある。これは、脳内エネルギー代謝と神経活動を同時にモニターできるようになったことと同義であり、脳内エネルギー分配の仕組みを明らかにする研究を有利に進められる。
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Strategy for Future Research Activity |
神経活動、血流、エネルギー代謝、行動を同時に評価できるモデルを用い、グリア・神経・血管の相互作用を明らかにしていく。
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Research Products
(15 results)