2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
21116003
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐々木 洋 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (10211939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西中村 隆一 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (70291309)
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Keywords | 初期胚 / マウス / 発生 / 細胞間相互作用 / Hippoシグナル / ライブイメージング / 遺伝子発現 / エピゲノム |
Research Abstract |
哺乳類の初期胚発生には細胞間の相互作用が重要な役割を果たしているが、細胞間接触による相互作用の果たす役割については、あまり知見がない。本研究ではHippoシグナル経路と転写因子Sall4に注目し、初期胚発生における細胞間接触によるコミュニケーションの役割(佐々木)と、コミュニケーションの結果起こった細胞分化が核内で固定化される機構(西中村)の解明を目的とし研究を進めている。今年度は、 1. 着床前胚で細胞間接触情報による栄養外胚葉と内部細胞塊の分化制御機構の解明について、細胞極性によるHippoシグナルの抑制の分子基盤は、細胞極性が、新規H:ippo経路因子Angiomotinを細胞接着面から排除する機構であることを見出した(佐々木)。 2. 栄養外胚葉と内部細胞塊の分化が核内で不可逆的に安定化される機構に関して、Sall4を欠失する生殖細胞及び胚様体を用いて、遺伝子発現やエピゲノムの状態変化を解析した。その結果、生殖細胞系列では抑制されるべき体細胞プログラムが脱抑制されており、幹細胞プログラムと同時に発動していることが明らかになった。また生後の生殖前駆細胞の維持にもSall4が必須であることを解明し、初期胚と発生後期の分子機構の違いを明らかにした。(西中村) 3. 欲着床後胚で細胞間接触情報が細胞動態の制御に果たす役割と機構について、着床後胚のライブイメージングにより、発生の進行に伴い脊索の細胞の向きが変化すること、さらにその変化が、羊膜腔の膨大に依存していることを見出した。また、培養細胞を用いた研究により、Hippoシグナルの制御は細胞の形態にも依存していることを見出した。(佐々木) これらの研究成果は、マウス初期胚の細胞コミュニティーの制御機構の解明につながる重要なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度のはじめに佐々木の研究室が理化学研究所から熊本大学へ移動したため、変異マウスのコロニーの確立に少し時間を要した。しかし、その後、上記3つの研究テーマは、着実に進展しており、その成果は、学会で発表を行っている。年度当初の遅れはほぼ取り戻しており、おおむね順調に進展しているといってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究テーマ(1)については、重要な成果が出ているので、来年度の早いうちにレベルの高い論文として発表することを目標とする。テーマ(3)については、ライブイメージングの系が順調に動いてきているので、遺伝子改変マウスを用いて細胞動態の観察に着手する。
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Research Products
(19 results)