2011 Fiscal Year Annual Research Report
普遍的細胞極性制御装置による哺乳動物初期胚発生制御機構の研究
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
21116004
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鈴木 厚 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (00264606)
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Keywords | 細胞極性 / PAR-aPKCシステム / 上皮細胞 / 微小管 / KIBRA |
Research Abstract |
1)微小管制御を介して細胞極性を制御することが示唆されていたPAR-1について、ノックダウン細胞のライブイメージングを行い、微小管の動的不安定性が低下していることを見出すとともに、この機能が、神経細胞のスパイン形成に必須であることを明らかにした。この結果はこれまで混乱していたPAR-1の作用機構を整理する上で重要な成果であり、PAR-1を介した初期胚制御機構の解明にも重要な知見となる。 2)一方、新規PAR-1結合タンパク質、MARKAP1(Mkp1;旧名、p250)の解析を重点的に進めた。その結果、この新規微小管結合タンパク質はゴルジ体に局在し、近年発見されたGolgi-nucleated微小管の制御を介してゴルジ・リボンの形成に重要な役割を果たしていることがわかった。また、Mkp1はこの機能を介して細胞の極性を持った運動に必須な機能を果たしていることも見出した。他方、Mkp1が上皮細胞特有の微小管構造の発達にも必須であるともに、マウス初期胚の細胞においても微小管と共局在することを明らかとした。Mkp1自身はPAR-1の足場タンパク質としての機能を発揮している一方で、そのホモログであるMkp2の微小管制御領域はPAR-1によってリン酸化制御を受けている可能性を示す結果を得た。 3)Mkp1、および、aPKCの内在的阻害タンパク質であることを昨年度見いだしたKIBRAについて、ジーントラップマウスを入手、その解析を進めた。Mkp1の発現を失ったマウスは小脳変性に由来すると思われる運動失調症状を示すものの、単独ノックアウトでは初期胚発生に異常を示さないことが示唆された。KIBRAの発現を失ったホモマウスは、生まれることが少なく、何らかの段階で胚性致死になっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞生物学的研究は大きく進展しており、興味深い知見が蓄積してきている。初期胚発生における役割の研究については今後のさらなる研究の発展が必要であるが、遺伝子改変マウスの解析等、今後につながる実験結果が出てきている。
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Strategy for Future Research Activity |
分子細胞生物学的な研究に関しては引き続き今の方向で研究を進め、特にMkp1、およびMkp2がPAR-aPKCシステムによる細胞極性制御にいかに関わっているのかという点の解析に注力する。また、Mkp2のコンディショナルノックアウトマウスを現在作成中であるので、それができ次第、Mkp1,2の二重変異マウスの解析を進め、このタンパク質の初期胚における機能の解析を進める。一方、KIBRA欠失マウスの解析を引き続き進め、佐々木博士と進めている班内の共同研究をさらに発展させる。
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