2021 Fiscal Year Annual Research Report
Slow-to-Fast earthquakes through comparison across global subduction zones
Project Area | Science of Slow to Fast Earthquakes |
Project/Area Number |
21H05203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 喜宏 京都大学, 防災研究所, 准教授 (30435581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 公廣 東京大学, 地震研究所, 教授 (80292861)
氏家 恒太郎 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40359188)
石川 剛志 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 研究所長代理 (30270979)
矢部 優 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (30802699)
前田 裕太 名古屋大学, 環境学研究科, 講師 (00728206)
吉岡 祥一 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (20222391)
宮崎 真一 京都大学, 理学研究科, 教授 (00334285)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Keywords | スロー地震 / 大地震 / 断層強度 / 断層帯流体 / 火山噴火プロセス / 温度構造 / プレート形状 |
Outline of Annual Research Achievements |
「比較沈み込み帯学」として以下のサブテーマで実施した。 テーマI「海底記録の精密解析による浅部スロー地震の比較研究」では、ニュージーランドの海底地震計記録についてS波偏光異方性解析を行い、従来よりも小さなテクトニック微動の検出に成功した。またメキシコの海底観測記録中に含まれる微動の放射エネルギーの推定を行い、その地域性を指摘した。 テーマII「陸域アナログ研究による深部スロー地震の実態解明と比較研究」では、プレート沈み込み境界に沿った化学反応と断層すべりの関係を検討し、地震発生帯下限付近では極細粒反応生成物の溶解ー析出クリープによる断層強度低下、マントルウエッジ付近では脱水に伴う粘性せん断の局所化とひずみ速度の増加の影響を指摘した。 テーマIII「化学解析とモデリングによる流体と断層すべりの相互性と地域性の比較研究」では、陸上アナログ試料を用いた地震断層帯流体岩石相互作用の地球化学的理解に向け、マイクロミルを改良した。その結果、試料岩石中の1mm以下の変形組織に沿って高精度・高作業効率の微小サンプリングを可能とするシステムが構築された。 テーマIV「火山噴火の直前現象としてのSlow-to-Fastの比較研究」では、火山噴火に先行する傾斜変動の時間関数形の推定を国内のいくつかの代表的な事例を用いて試行した。その結果、傾斜変動の有無や時間窓を自動的に抽出するアルゴリズムの必要性が明らかにした。 テーマV「プレート形状と温度構造の比較研究」では、アラスカ沈み込み帯で発生するテクトニック微動の原因の解明に向けて、ヤクタット海台と太平洋プレートの同時沈み込みに伴う3次元温度構造の数値シミュレーションを実施した。その結果、ヤクタットテレーンの海洋堆積層と海洋地殻が太平洋プレートのそれらに比べてかなり厚く、これらの層に含まれる総含水量が多いことが、テクトニック微動の発生原因となる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で人的交流は限られたが、サブテーマ毎に、年度当初に想定したものよりも多くの研究成果が得られた。海外における海底観測では、連携機関の協力により、想定以上に観測を実施することができた。また、取得されたデータの解析では、特に浅部のスロー地震活動について新たな知見が得られた。地質学的な視点からも深部のスロー地震発生場における化学反応と断層すべりに関する新たな知見が得られた。さらに次年度以降の研究に要する環境開発として、マイクロミルの改良が完了した。さらに火山地域における傾斜変動の解析に必要なアルゴリズムの重要性についても指摘した。温度構造のシミュレーションからもテクトニック微動の発生に流体が大きく関与する可能性をアラスカにおいても示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は比較沈み込み帯の比較研究に向けた解析手法の開発に着手する。既存の地震・地殻変動の記録や地質・掘削試料を取得・整理を進める。また、取得した記録や試料の解析・分析からSlowとFastの破壊を支配する要因の抽出を行う【情報収集、人的ネットワーク強化、要因抽出とモデル準備】。さらに得られた要因の地域性や固有性を環太平洋地域で整理する。また地震学、測地学、地質学、地球化学的な視点から統合的に解釈し、実態解明に向けた現象のモデル化を進める【結果の統合的解釈およびモデル化】。
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Research Products
(17 results)