2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Machineries of bioactive lipids in homeostasis and diseases |
Project/Area Number |
22116010
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清原 裕 九州大学, 医学研究院, 教授 (80161602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 充明 独立行政法人理化学研究所, 横浜研究所・ゲノム医科学研究センター, 副センター長 (30442958)
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Keywords | 脂肪酸分面 / エイコサペンタエン酸 / アラキドン酸 / エイコサセン酸 / 追跡調査 / 虚血性心疾患 / 肥満 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
1.血L中脂肪酸の疫学(清原):(1)血清エイコサペンタエン酸(EPA)/アラキドン酸(AA)比と心血管病発症の関連を検討した。2002年の福岡県久山町の循環器健診を受診した心血管病の既往歴のない40歳以上の一般住民3,003名を5年間前向きに追跡した。追跡期間に191人が死亡し、127人が心血管病を発症した。血清EPA/AA比のレベルを0.25未満、0.25-049、0.50-0.74、0.75以上の4分位で4群に分けた。対象者におけるEPA/AA比の中央値は0.41(四分位範囲0.29-0.59)であった。EPA/AA比が0.75以上、0.50-0.74、0.25-0.49、0.25未満と低下するに伴い、性・年齢調整後の総死亡率(対千人年)は11.5、12.8、11.8、23.5と有意に上昇した(p=0.01)。さらにEPA/AA比と心血管病発症の関係を検討すると、集団全体では有意な関連を認めなかった。そこで、血清高感度C反応性蛋白(hs-CRP)値のレベル別に解析したところ、hs-CRP1.0mg/L以上の群において、EPA/AA比と心血管病の発症リスクの間には有意な負の直線関係を認めた(p=0.02)。この群における心血管病発症の相対危険(多変量調整)は、EPA/AA比が0.25低下する毎に1.66倍(95%CI 1.14-2.42)有意に上昇した。一方、hs-CRP1.0mg/L未満の群では、EPA/AA比と心血管病発症との間に有意な関連は認めなかった。 (2)2002年に空腹で健診を受診した40歳以上の住民3,210名を対象として、エイコセン酸の血清脂肪酸分画に占める割合を重量%で求めた。エイコセン酸割合を0.13未満、0.14-0.16、0.17-0.20、0.21以上の4分位の4群に分類した。エイコセン酸割合と肥満・インスリン抵抗性の関連をみると、4分位のレベルが上昇すると、BMI、HOMA-IR、腹囲、hs-CRPの値、肥満およびメタボリックシンドロームの割合が有意に低下した(p<0.05)。 2.脂質メディエーター関連遺伝子群のSNPs測定(久保):脂質メディエーターの関連遺伝子群118SNPsを選び、2002年に健診を受診した3,196名に対してSNPタイピングを行い、データベース化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト血中における脂肪酸分画を測定し、追跡研究において血清エイコサペンタエン酸(EPA)/アラキドン酸(AA)比と心血管病発症との関連を明らかにした。脂質メディエーター関連遺伝子群のSNP測定も順調に進み、解析が行われようとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
疫学研究において、脂肪酸分画と心血管病およびその危険因子との関係を明らかにしていく。また、脂質メディエーター関連遺伝子群のSNPと疾患との関連について解析を行う。研究の遂行上、とくに問題点はない。
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Research Products
(48 results)