2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecular mechanisms for establishment of sex differences. |
Project/Area Number |
22132006
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山田 源 和歌山医科大学, 遺伝子制御学研究部, 教授 (80174712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 堅太郎 熊本大学, 発生医学研究所・生殖発生分野, 助教 (20404345)
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Keywords | 性 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 遺伝子 / 動物 / 発生・分化 / ミュータントモデル |
Research Abstract |
器官形成過程で極めて重要な性差を呈する制御機構及びその制御因子群について解析した。雄型、雌型の未分化な生殖器官、特に間葉細胞において発現が異なる制御因子が複数同定されつつある。それらの転写因子群はアンドロジェンの作用を阻害する事によって発現が制御され、同シグナルの標的であり、更に同変異マウスが外部生殖器に大きな異常を呈する事が見出された。又、別の制御遺伝子は尿道形成過程において異なる機能を有する物もあり、そのような制御因子間の差異が明らかになりつつある。更に別の転写制御因子は性差間葉において発現に関して強陽性の細胞群と弱陽性の2種類の細胞群がある。 性差を示す、未分化間葉細胞の性質や細胞挙動に関しても研究実績が上がりつつある。これまで性差とは形態的に雄型、雌型といった器官での知見が中心であったが、未分化間葉細胞自身に性差を示す構造的特徴があることが明らかになりつつある。それらは細胞骨格系蛋白の構築の差異であった。これらの細胞骨格系蛋白の構造はアンドロジェンの添付或いは同シグナルの阻害によってダイナミックに変化する。よって、個々の細胞レベルにおいても性差を示す事象が明らかになりつつある。また、基礎生物学研究所の藤森博士との研究により蛍光標識した遺伝子改変マウスより生殖器官の細胞を同様に純化して培養を行いつつある。その結果上記の細胞骨格系蛋白群の挙動をイメージング解析によって解析しつつある。以上の様に、内外生殖器の性差構築の解明について着実に進展が得られた。 また、これまで細胞増殖因子としてソニックヘッジホッグ(Shh),Bmp(骨形成制御因子)等のシグナル伝達系が外部生殖器等、生殖器官の発生に重要な事を示してきた。レチノイド(RA)シグナルがこれらのシグナル伝達系と相互作用する事によって外部生殖器の形成を制御する事も明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により生殖器官の性差間葉において、初めて性差を呈する性差制御因子が発現する事を見出した。また、そのような間葉細胞が分化する際に機能する制御因子についてスクリーニングを通じて示唆した。それらのミュータント及びそれらの細胞を純化する事にも成功し、分離細胞を用いた実験も行いつつある。これらを鑑みて、性差を器官レベルで具現化する細胞及び制御因子の機能について、解析が順調に進んでいるものと考えている。また米国大学、国際ヘッジホッグミーチング、等多くの国際会議で招聘されており、海外からの本研究への評価も高い。
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Strategy for Future Research Activity |
性差間葉を制御するエフェクター遺伝子GFPマウスを用いて外部生殖器などからGFP陽性の間葉細胞を純化単離する。アンドロジェンレセプターによるそれらの発現制御ならびに、それら遺伝子の下流の実態遺伝子の探索をインフォマティックスやWhole RNAシークエンス法等を用いて行う。 性差を示す間葉細胞が純化出来るのでそれらの細胞を蛍光色素で標講して生細胞の運動やオルガネラ、細胞の分化状態を画像ライブイメージングにて解析する。これらの解析によって更に強力に性差の分子発生医学研究を推進する。
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