2012 Fiscal Year Annual Research Report
Epigenetic variation in HLA genome
Project Area | HLA polymorphism, disease and evolution |
Project/Area Number |
22133003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (60274528)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | HLA / エピゲノム / ゲノム / 非コードRNA / ヒストン / DNAメチル化 / SNP |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のゲノムワイド相関解析により、免疫関連疾患と強く相関する遺伝子多型が HLA領域内に同定され、免疫関連疾患と HLAとの相関があらためて確認された。本研究では、HLA領域のncRNAを含むエピゲノム多様性を解明し、エピジェネティックスの観点から疾患発症におけるHLA領域の意義解明を目指している。HLA遺伝子座およびアレル毎にncRNA発現量、DNAメチレーションレベル、ヒストン修飾レベルを明らかにしようとする点に特徴がある。平成24年度は、HLA各アレルに固有のエピゲノム修飾を、拡大HLA領域に位置する14,224個のDNAメチル化サイトを用いて探索し、DPB1*05:01とDNAメチル化レベルとの間にBF補正後も有意である28サイトを同定した。そのうち21サイトがDPA1あるいはDPB1座に位置しており、*05:01のアレル数に応じてメチル化が減少する方向性を示していた。これは、DPB1*05:01が,DPA1およびDPB1遺伝子領域に位置する DNAメチル化サイトにおいて特有の低DNAメチル化レベルを保持しており、それがα鎖とβ鎖両者の発現レベルを上げている可能性を示している。また、各HLAアレルと連鎖不平衡の関係にあるHLA領域内一塩基多型を同定し報告した。HLAアレルと遺伝的に挙動を共にする非HLA遺伝子内一塩基多型の同定により、HLAと疾病との相関機序を解明するための新たな情報を提供した。今後、研究期間内に、HLA遺伝子座あるいはアレル固有のncRNA、DNAメチル化、ヒストン修飾をHLA領域内に同定し、それらの情報を領域内連携を通じてHLA統合データベースに登録し、HLA 領域を対象とした疾患関連研究の進展に資する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では、当初、HLA領域より発現される長鎖ncRNAに焦点を当てた。これを同定するために不死化細胞株7株よりRNAを抽出し、次世代シークエンサーによりRNA-seqを行った。その結果、得られた転写産物は、既に公共データベースに登録されているもののみであり、新規の長鎖ncRNAを同定することは出来なかった。これを踏まえ、短鎖ncRNAを標的とすることとした。現在、その解析を中心に進めている。また、DNAメチル化レベルのデータ取得は順調に進み、DNAメチル化サイトチップを用い、拡大HLA領域に位置する約1万4千か所のDNAメチル化サイトとHLAアレルとの関連研究へと展開している。また、不死化細胞24検体よりヒストンH3K9修飾を受けたヌクレオゾーム単離に成功しており、次のステップに進むことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
HLA領域のエピゲノムは未だ不明な点が多く、その解明のために、以下の研究を推進していく。 ・HLA領域に位置するncRNAの同定:ヒト不死化B細胞株(LCL)について、短鎖ncRNAを標的としてトランスクリプトーム解析を行う。HLAおよびSNPアレル間での発現量の違いを解析する。 ・HLA領域のDNAメチル化解析:HLA6遺伝子座タイピング、および拡大HLA領域に位置する約6,000個のコモンSNPタイピングが終了したLCL92検体について、DNAメチル化チップによりHLA領域約14,000サイトのDNAメチレーションレベルを取得した。平成25年度は、統計解析を重点的に実施し、HLA遺伝子座固有、HLAアレル固有のDNAメチル化レベルを解明する。 ・HLA領域のヒストン修飾解析:上記LCL24検体に関して、ヒストンH3K9メチル化修飾に特異的に結合するHP1分子を用いて、H3K9メチル化ヌクレオゾームを単離した。平成25年度は、そのヌクレオゾームDNAの配列決定を行い、HLA領域における上記ヒストン修飾の分布を解明する。H3K9修飾は主に転写抑制に関わっている。本解析の後に、抗ヒストンH3およびH4アセチル化抗体を用いたChip-seqにより、転写活性化修飾の分布を明らかにする。 ・平成26年度以降も本研究を継続し、本研究で得られたncRNA 情報、DNAメチル化情報、ヒストン修飾情報をHLA 統合データベースに登録する。
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Research Products
(2 results)