2022 Fiscal Year Annual Research Report
もつれ光子対放出原子核と分子プローブの創成による生体内化学環境の医療診断
Project Area | Creation of diagnostic therapy using nuclear-multi-molecular interaction probes with entangled photon pairs |
Project/Area Number |
22H05024
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
重河 優大 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 特別研究員 (60845626)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 暁 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (40562715)
野村 幸世 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70301819)
|
Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
|
Keywords | もつれγ線 / 放射性同位元素 / 分子プローブ / 薬剤送達システム / 医療診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
もつれγ線分子間相互作用イメージング用RIの候補の一つであるYb-169の製造開発を進めた。まず、169Tm(d,2n)169Yb反応の核反応断面積を測定し、Yb-169の大量製造に適した重陽子のエネルギーや標的厚などを決定した。また、大量のTm-169標的からごく微量の169Ybを化学的に分離する手法を開発し、Yb-169を90%近い化学収率でTm-169標的から分離できるようになった。今年度開発した手法を用いて、1回のビームタイムで100 MBq程度のYb-169をイメージング実験に供することができると考えられる。 がん細胞表面のHER2に結合するVHH抗体およびaffibodyを使用した2種類のタンパク質プローブの作製と蛍光FITCおよびキレート剤DOTAの低分子プローブの作製を行った。タンパク質プローブについて、VHHを使用したものは、結合後の内在化が速いがaffibodyタイプの内在化は遅いことを蛍光低分子プローブで確認した。これらのタンパク質プローブとDOTAプローブを用いて細胞内のpH変化によるもつれガンマ線角相関解析の準備中である。 すでに細胞株として樹立できている免疫コンピテントなC57BL/6マウスに移植可能なマウス胃癌細胞株YTN16の適切なマウスへの移植法を確立した。腹膜播種に関しては、コンフルエントな細胞を1x10^7 cell/500 ulを一個体に対して移植し、1週間ですでに腹膜に播種があることは腹膜のざらつきで肉眼的にも視認できることを確認した。5週間になるとマウスに死亡個体が出ることも確認した。皮下腫瘍に関しても、5x10^6 cell/200ulを皮下注することにより、徐々に増大する腫瘍を形成できた。皮下腫瘍は5週間ではマウスの生命を脅かすほどの増大はない。イメージングへ向けて、ヒトHER2を発現するYTN16細胞を作成準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
もつれγ線分子間相互作用イメージングに適した核種の候補の一つであるYb-169について、製造条件を決定し化学分離手法を開発することができたため。さらに、細胞レベルから動物モデルで使用可能なプローブの準備を整えることができたため。また、イメージングに必要な最適なモデルの作成方法を確立することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、Yb-169、Tb-155などの製造開発を進める。Yb-169については、高放射能量で無単体のものを実際に製造し、島添班と共同でイメージング実験を実施する。Tb-155については、Eu-153にHeビームを照射することで製造する。まず、励起関数の測定により、最適なHeエネルギー等を決定する。次に、Eu-153濃縮同位体を用いたTb-155の製造試験を実施し、核種純度等を評価する。さらに、大量のEuから微量のTbを高効率で化学分離する手法の開発を進める。 今年度はさらに、候補となるRIに適したビオチン改変体(Psyche)の設計・合成を進める。プレターゲティングによる腫瘍への集積を可能にするために、ビオチニデース耐性改変も加える。また、細胞の分子標的と結合した後に異なる挙動を示す2種類のターゲット剤の開発を進める。1種類は、single domain antibody (VHH, nanobody)をリガンドとするもので、細胞の分子標的に結合後、すみやかに細胞内に内在化しやすいものであり、もう1種類は、affibody をリガンドとするもので、内在化しにくく比較的多くが細胞表面に長時間留まるものである。これらを利用しもつれγ線の角相関の変化の計測が可能か島添班と検証を進める。 杉山らがすでにヒトHER2に対するプレターゲティングを成功させていることから、昨年度、免疫コンピテントなC57BL/6マウスに対して移植モデルを確立した、マウス胃癌細胞株YTNに対し、ヒトHER2を強制発現させた細胞株を作成し、親株のYTN同様にC57BL/6マウスに腹膜播種、皮下腫瘍を作成可能であるかを検討する。これが可能であれば、ヒトHER2を1つのターゲットに加えたプレターゲティングを行い、RIを腫瘍に集積させ、もつれγ線の角相関の変化の計測が可能か島添班と検証を進める。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Pretargeted alpha radioimmunotherapy for gastric cancer using low-immunogenic mutated streptavidin and 211At labeled modified bis-iminobiotin2023
Author(s)
K. Washiyama, A. Sugiyama, S. Zhao, T. Tatsumi, M. Aoki, K. Yamatsugu, K. Nishijima, N. Ukon, S. Shimoyama, T. Joho, N. Oriuchi, M. Kanai, K. Takahashi, T. Kodama
Organizer
12th Targeted Alpha Therapy International Symposium
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Synthesis and Astatine Labeling of a bis-iminobiotin derivative with enhanced plasma stability2022
Author(s)
K. Washiyama, A. Sugiyama, S. Zhao, T. Tatsumi, M. Aoki, K. Yamatsugu, K. Nishijima, N. Ukon, S. Shimoyama, T. Joho, N. Oriuchi, M. Kanai, K. Takahashi, T. Kodama
Organizer
International Symposium On Radiopharmaceutical Sciences
Int'l Joint Research
-
[Presentation] 低免疫原性ストレプトアビジン変異体と改変ビオチンを用いるプレターゲティングシステムの開発2022
Author(s)
T. Tatsumi, K. Washiyama, A. Sugiyama, S. Zhao, M. Aoki, K. Yamatsugu, K. Nishijima, N. Ukon, S. Shimoyama, T. Joho, N. Oriuchi, M. Kanai, K. Takahashi, T. Kodama
Organizer
日本放射化学会第66回討論会(2022)