2022 Fiscal Year Annual Research Report
アプタマー生物学による脳内Aβホメオスタシス機構の意義の解明
Project Area | Creation of aptameric biology |
Project/Area Number |
22H05036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 由起子 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (80610683)
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Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内における異常タンパク質の増加は、脳機能の恒常性維持に破綻をきたし疾患発症に繋がることから、脳には異常タンパク質に応答するホメオスタシス機構が存在する。その一つとして本研究では、脳内の異常タンパク質でありアルツハイマー病(AD)発症原因分子であるAβ量を制御するガーディアン分子Kallikrein-related peptidase 7(KLK7)に着目する。これまで、アストロサイトが細胞特異的にKLK7制御機構を有する可能性を見出しているが、その詳細な分子機構は明らかではない。そこで本研究では、KLK7を介したアストロサイト特異的脳内Aβホメオスタシス機構の解明と、DNAアプタマーによる脳特異的KLK7制御を研究目的とし、脳内Aβホメオスタシス機構の意義を解明する。 NMDA受容体アンタゴニストであるメマンチンがKLK7 mRNAを上昇させることを見出していたことから、その詳細な制御機構について検討した。まずルシフェラーゼアッセイを用いて、メマンチンに応答するKLK7上流のプロモーター領域を探索したところ、NF-κB結合領域を介したKLK7転写制御機構があることが示唆された。そこでプライマリーアストロサイトにNF-κB経路阻害剤であるIKK-16およびJSH-23を投与したところ、KLK7 mRNA量が上昇し、またAβ分解活性も上昇することを確認した。このことから、アストロサイトにおいてNF-κB経路を介したKLK7転写抑制機構が存在し、脳内Aβ量の制御に寄与していることが明らかになった。 またAβの短期刺激によってもKLK7発現が上昇することがわかっている。そこで、同様の手法でAβに応答するKLK7上流のプロモーター領域を探索し、SOX9結合領域が関与していることを見出した。今後、その詳細な機構を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アストロサイトにおいてKLK7発現制御に関わる転写因子を具体的に同定することができ、今後の制御メカニズム解析の基盤となるデータを取得できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
NF-κBやSOX9を介したKLK7発現制御機構の詳細、およびKLK7を介したAβホメオスタシスへの影響を検討する。またAβ刺激においては、急性刺激に比べ、AD患者脳内を模倣しうると考えられる慢性Aβ刺激下でのKLK7発現制御機構にも着目し、検討を行いたい。
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[Journal Article] INPP5D modulates TREM2 loss-of-function phenotypes in a β-amyloidosis mouse model2023
Author(s)
Iguchi A, Takatori S, Kimura S, Muneto H, Wang K, Etani H, Ito G, Sato H, Hori Y, Sasaki J, Saito T, Saido CT, Ikezu T, Takai T, Sasaki T, Tomita T
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Journal Title
iScience
Volume: 26(4)
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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