2022 Fiscal Year Annual Research Report
Controls of Structural dimensionality and Crystal morphology of Supra-ceramics
Project Area | Supra-ceramics: Molecule-driven frontier of inorganic materials |
Project/Area Number |
22H05144
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大谷 亮 九州大学, 理学研究院, 准教授 (30733729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定金 正洋 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (10342792)
高橋 雅英 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (20288559)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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Keywords | 極性 / ポリオキソメタレート / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
極性一次元鎖超セラミックスK2MnN(CN)4.H2Oの強誘電特性の評価を行った。湿度80%において1kV/cmの印可電圧で測定したところ、32mC/cm2という巨大な分極値が確認された。これは、結晶構造に基づく10uC/cm2という値とは大きく異なっており、結晶格子を超えたイオンの移動による分極現象であると考えられる。すなわち、外部電場により移動したプロトンが極性骨格にトラップされることで、電場を切っても分極状態が維持されることによるものであると考察した。また、班内連携を開始し、特に極性プロトン伝導体(NEt4)2MnN(CN)4.H2Oを用いた薄膜調整の検討を行った。キャスト法により薄膜を作成し、X線回折測定を行ったところ、配向の揃った薄膜が得られることが分かった。 POMを用いた超セラミックスに関しては、5角形モリブデンPOMと他の金属カチオンを組み合わせることによる3次元POM超セラミックス結晶構築に関しては、モリブデン原料として使うことが出来るメチルアンモニウムカチオンおよびジメチルアンモニウムカチオンを含む新しいモリブデン原料を合成し構造解析することに成功した。また、A01班と領域内共同研究を開始しモリブデン原料のin-situ分析を行った。加えてB01班と3次元POM結晶の分析に関する共同研究を始めた。 基盤を用いた二次元超セラミックスに関しては、水酸化物結晶基板上でMOFをエピタキシャル成長することで配向MOF薄膜を得た。γ-AlO(OH)を基板として用いることで、世界に先駆けてAl系MOF配向膜(MIL-53(Al))を得た。γ-AlO(OH)のAl-OH-Al結合の配列がカルボン酸の配向方向を規定することを初めて見出した。MIL-53(Al)は微量のガスを吸着することで構造転移を伴うことを利用して、異なるガス気流中での応答性アクチュエータを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
極性超セラミックスK2MnN(CN)4.H2Oの示すプロトン整流特性に関する物性解析が進んでいるだけではなく、全く新しい強誘電特性を見出した。また薄膜調整に関する進展が見られていることから判断した。 これまではCu系に限定されていた配向MOF薄膜に化学的多様性をもたらしたことで、エピタキシャル成長による有機-無機ハイブリッド結晶の成長方位制御の基盤拡大への進展が期待されることから判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
極性超セラミックスに関しては、類縁体である極性結晶Li2MnN(CN)4.3H2Oのイオン電導特性と強誘電性の評価を進める。特に、PUND法を用いた強誘電評価により真の分極値を求めると同時に、イオンの緩和速度を評価する。また、K2MnN(CN)4.H2Oとの比較により、イオン伝導性と強誘電性との相関関係を明らかにする。 POMに関しては、5角形形モリブデンPOMを組み上げた3次元POM超セラミックス結晶の詳細な結晶構造解析をB01班と共同で進めていく。また、ルテニウム4核POMと有機2座配位子を組み合わせる2次元POM超セラミック結晶の合成も行う。 二次元超セラミックスに関しては、二次元超セラミックスに関しては、より精密なエピタキシャル界面制御へと展開したい。特に、エピタキシャル無機結晶膜で広く行われているストレスエンジニアリングによる機能開拓・制御へと発展させる。基板となる金属水酸化物とMOFの格子不整合を利用することで膜界面における巨大なストレスによるトポロジー制御を実現し、機能発現へとつなげる。
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Research Products
(21 results)