2012 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of cellular functions by imaging cellular nucleic acids
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
23107007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸山 厚 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40190566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 直彦 九州大学, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (10423972)
狩野 有宏 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (30403950)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 核酸シャペロン / 遺伝子解析 / 細胞内デリバリー / カチオン性共重合体 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、細胞内において、DNAおよびRNAのイメージングを可能とする核酸ナノセンシング法の構築とそれによる細胞機能発現の解明と制御を目的とする。これには、1)核酸プローブの塩基配列選択性の向上、2)核酸検出感度の向上および3)プローブ核酸を細胞内に効率よく送達する手法が求められる。本年度は以下の成果を得た。 1,細胞内へのプローブ核酸あるいは遺伝子制御核酸などのデリバリーを念頭に、エンドソーム内のpH変化(pH7.4→5.0)に応答する塩基性基を有するポリカチオンの設計を行っきたが。特に、アミノ酸のα-アミノ基が低いpKaを有することに着目し、新しいエンドソームpH応答性高分子の合成とその細胞内送達キャリアとしての評価を引き続き行った。その結果、細胞内に導入する上で適したpH応答性をα-アミノ酸のα-アミノ基が有すると示唆された。特に、リシン、アルギニンをペンダント基と導入した高分子で、高い導入活性が見出された。 2,核酸イメージングの感度向上を目的に、分子ビーコン型核酸プローブの反応性を高める工夫を検討した。分子ビーコンは、設計が容易である反面、標的核酸との反応性特に反応速度が遅い点に課題があった。分子ビーコンの標的核酸への結合性を高めるために、申請者らが開発した核酸シャペロン活性を有するカチオン性高分子を利用した。その結果、カチオン性高分子存在下で、分子ビーコンの結合速度を100倍以上促進できることがわかった。これにより、分子ビーコンの応答性と感度の向上が可能である。 これらの知見は、研究目的達成の上で、極めて有用と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)核酸プローブの塩基配列選択性の向上、2)核酸検出感度の向上および3)プローブ核酸を細胞内に効率よく送達する手法が本申請課題の目的達成に不可欠であるが、以下の様にいずれの課題に対しても順調に成果が得られている。 1)RNAはミスマッチ塩基対を組みやすく、塩基配列選択性を上げる必要があるが、部分二重鎖核酸プローブを適宜デザインすることにより、一塩基の違いも高感度に見分けられることが可能となった。 2)細胞内では、標的核酸の濃度が低く、且つ分子内構造やタンパクとの相互作用によりプローブ核酸との結合性が低い。標的核酸とプローブ核酸の反応性を高める手法としてカチオン性くし型高分子を適用した結果、反応速度、検出感度双方共に向上できることがわかった。 3)細胞内デリバリーには、エンドソームpH(5.5)への酸性化に伴い、プロトン化する塩基性高分子が有効とされる。そこで、生体内のアミノ酸をビルディングブロックとした高分子を調整し、この高分子が中性からpH5.5でプロトン化することを確認した。さらに、この高分子が高い遺伝子送達活性を示すことを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内核酸のより動的なパラメーターを取得するために、A01(ア)班の分子ダイナミックス解析法を取り入れる。標的となる核酸を本課題の核酸プローブ法により特異的にラベルし、細胞内での動態をナノメーターレベルかつミリ秒オーダーで解析する。分子ダイナミックス解析には、明るい蛍光分子が必要となるが、一方で未結合プローブの消光状態を強化する必要がある。既にくし型共重合体は、核酸二重鎖の安定性を高めることで蛍光消光状態を強化することが見いだされている。これらの知見を活用して、核酸ナノ動態解析を実現する。
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Research Products
(9 results)