2023 Fiscal Year Annual Research Report
[Amyloid and heteroamyloid] Formation of meta-aggregates and their toxicity in mixed dementia
Project Area | Supramolecular behavior and dynamic capture of metastable amyloid aggregates |
Project/Area Number |
23H03850
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小野 賢二郎 金沢大学, 医学系, 教授 (70377381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 まゆみ 昭和大学, 医学部, 教授 (40155544)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メタアグリゲート / アミロイド / オリゴマー / 共凝集 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(AD)では、アミロイドβ(Aβ)やtauの凝集が関与している。一方、パーキンソン病(PD)ではαシヌクレイン(αSyn)の凝集が、2型糖尿病では膵島アミロイド(IAPP)凝集が各々の病態に関わり相互に関与している可能性が示唆されている。本研究では、各アミロイド(Aβ、tau、αSyn、IAPP)からなるメタアグリゲートの凝集動態や構造、細胞毒性相関を明らかにすることを目的としている。 Aβ42やtau、αSyn、IAPPは種々の検討から各low molecular weight(LMW)画分(主としてモノマーが存在する画分)を効率的に調整することに成功した。これら各蛋白のLMWを用い、チオフラビンT(ThT)を利用した系で各凝集反応を検討し、凝集反応を簡便に評価できることを明らかにした。また、ThTを利用した系で、各蛋白から調整したシードと同じ蛋白のLMWを用いた凝集反応(セルフ・シーディング反応)の場合、いずれの蛋白でも凝集促進効果がみられることを明らかにした。異種のアミロイド蛋白を用いた凝集反応(クロス・シーディング反応)についてThTを利用した系で種々検討したところ、αS-シードとAβ42-LMWとの場合やAβ42-シードとIAPP-LMWとの場合で、その凝集反応が速くなることを見い出した。αS-シードとAβ42-LMWとのクロス・シーディング反応では、高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)で動的な線維形成を観察することができた。また、形成された線維について、電子顕微鏡でその形態を、免疫沈降やSDS-PAGEでその構成蛋白を確認した。さらに、SH-SY5Y細胞を用いたMMT法では、αS-シードとAβ42-LMWとのクロス・シーディング反応で形成された線維は、Aβ42-LMWで形成された線維と同程度の神経毒性を示すことが明らかなとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Aβ42やIAPPは市販のものを用い、tauやαSynは大腸菌から調整した。Aβ42やtau、αSynのLMWはサイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography :SEC)で分離精製した。IAPPは、HFIP (hexafluoroisopropanol)処理にてLMWを調整した。上記の各蛋白のLMWを用いて、37℃下で静置や振動、撹拌などの条件で1~7日間凝集反応を行いThTを利用した系で評価した。また、凝集反応で形成された線維からシードを調整し、セルフあるいはクロス・シーディング反応についてThTを利用した系で評価した。凝集反応やセルフ・シーディング反応については、各蛋白で検討したが、クロス・シーディング反応については、現状ではAβ42とαSあるいは、Aβ42とIAPPで検討して、αS-シードとAβ42-LMWとの場合、あるいは、Aβ42-シードとIAPP-LMWとの場合に凝集促進効果が認められた。これらの結果から、異種間での凝集反応において、適切な蛋白の組み合わせが存在している可能性を考えており、その他の組み合わせについても検討する必要がある。 上記の結果を踏まえ、まず、αS-シードとAβ42-LMWとのクロス・シーディング反応について追加検討を行った。HS-AFMを用いて、そのクロス・シーディング反応を動的に観察することができた。また、形成された線維を経時的に電子顕微鏡で評価したところ、形成される線維はAβ42-LMWのみの場合よりも多くみられた。さらに、クロス・シーディング反応で形成された線維の構成蛋白について、抗αS抗体を用いた免疫沈降およびSDS-PAGEで解析し、αSとAβ42で構成されることを確認した。これらから、αSとAβ42とは異種間でシーディング反応が進行している可能性を考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
αS-シードとAβ42-LMWとの凝集反応で、異種蛋白間でシーディング反応が進行している可能性が示唆された。このことから、まずHS-AFMを用いて、αS-シードからAβ42の直接的な伸長反応が観察されるかについて、反応条件を種々検討する(αS-シードの存在量や、Aβ42濃度など)。次いで、2次構造変化を円二色性(Circular Dichroism: CD)測定で調べる。更に、αSとAβ42とのメタアグリゲート形成能について、光化学架橋 (Photo-induced cross-linking of unmodified proteins: PICUP) 法を用いて混合反応溶液を固定化し、メタアグリゲート分布をSDS電気泳動で調べる。 他のアミロイド蛋白間での共凝集として、Aβ42とIAPPとの組み合わせや、αSとIAPPとの組み合わせについて、同様にThTを利用した系や、電子顕微鏡、CD、HS-AFM、免疫沈降・SDS-PAGEによる解析、神経細胞毒性実験で検討する予定である。
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Research Products
(72 results)