2012 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of endocytosis and lysosomal traffic by the ubiquitin conjugation system
Project Area | New aspect of the ubiquitin system : its enormous roles in protein regulation |
Project/Area Number |
24112003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
駒田 雅之 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (10225568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石戸 聡 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (10273781)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞 / タンパク質 / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)Ankrd13A,B,DはそのC末端領域に4個のユビキチン結合モチーフUIMをもち、その各UIM欠失体の解析から、Ankrd13A,B,Dが主にUIM3とUIM4を介して細胞膜上でLys63連結型ユビキチン化を受けた増殖因子受容体に結合することがわかっている。本研究では各UIMを大腸菌に発現させ、精製したUIMとユビキチン鎖との結合を解析した。その結果、UIM4が単独でLys63連結型ユビキチン鎖に結合すること、UIM3+4の領域はより高い結合親和性をもつことが明らかとなった。現在、UIM4およびUIM3+4の領域とLys63連結型ユビキチン鎖の複合体のX線結晶構造解析に向け、その結晶化条件のスクリーニングを行っている。 2)Ankrd13A,B,Dと共免疫沈降するタンパク質を質量分析法で同定することにより、AAA型ATPaseであるVCP/p97をAnkrd13A,B,D結合分子として同定した。Ankrd13A,B,Dのドメイン欠失変異体を用いた解析から、この結合はAnkrd13A,B,DのUIMを含むC末端領域を介するものであることが明らかとなった。 3)脱ユビキチン化酵素USP13は、通常の37℃培養においてヒト培養細胞の核質に局在するが、高温ストレス(44℃、1時間)を与えるとストレス顆粒と呼ばれるmRNAやRNA結合タンパク質からなる一過性の細胞質の凝集体に局在化することを見出した。また、このストレス顆粒にはユビキチン化されたタンパク質が多く集積していることを見出した。そしてRNA干渉法でUSP13の発現を阻害すると、ストレス顆粒の形成は正常であるが、そこでのタンパク質ユビキチン化が大きく上昇することを見出した。したがって、USP13がストレス顆粒におけるタンパク質ユビキチン化レベルの制御因子であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)すでにAnkrd13AのUIM4およびUIM3+4の領域とLys63連結型ユビキチン鎖の結晶化条件のスクリーニングを行っており、結晶化する条件がいくつか見つかっている。その中の代表的なものにX線を照射して回折データを取得したが、短時間で結晶化してしまったために質の良い結晶が得られず、構造解明には至らなかった。しかし、結晶化条件を微調整することで構造解析の可能な良質の結晶を得ることが期待できるため、研究は概ね順調に進展していると考えている。 2)Ankrd13A,B,DとVCP/p97の相互作用の解析に関しては、これまで実験を行っていた大学院生が卒業し、新たにプロジェクトを引き継いだ大学院生がそれまでの実験結果の再現性を確認するのに少し時間を要したため、研究の進捗は今一つである。しかし、すでに以前の実験結果を再現できるようになっており、今後の進展が大きく期待できる状況である。 3)細胞に高温、ヒ素、酸化などの様々なストレスを与えると、mRNAやRNA結合タンパク質からなる一過性の凝集体が細胞質に誘導される。この構造体はストレス顆粒と呼ばれ、近年その細胞ストレス時における役割が非常に注目されているが、その意義はまだよくわかっていない。本研究では、ストレス顆粒の機能制御にタンパク質のユビキチン化と脱ユビキチン化が関与していることを新たに見出した。これは、ストレス顆粒の新たな制御機構を示唆するものであり、ユビキチン化の新たな細胞機能の解明に向けて大きな進展であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)Ankrd13A,B,DのUIM4およびUIM3+4の領域とLys63連結型ユビキチン鎖(2~4量体)の複合体のX線結晶構造解析に向け、その結晶化条件のスクリーニングを継続する。また、Ankrd13A,B,DのUIMはLys48連結型ユビキチン鎖とも非常に弱い親和性で結合することから、Ankrd13A,B,Dの各UIMとLys48連結型ユビキチン鎖の複合体のX線結晶構造解析も進め、Ankrd13A,B,DのUIMがLys63連結型ユビキチン鎖に高い結合選択性をもつ構造的基盤を原子レベルで解明する。 2)最近、VCP/p97がエンドソームの機能に関与することが示唆されている。そこでAnkrd13A,B,DとVCP/p97の相互作用のエンドソームにおける役割を、両タンパク質の過剰発現、あるいはドメイン欠失変異体やRNA干渉法を用いて機能阻害を行ったヒト培養細胞において解析する。 3)USP13がストレス顆粒におけるタンパク質ユビキチン化レベルの制御因子であることが明らかとなったことを受け、ストレス顆粒におけるタンパク質のユビキチン化と脱ユビキチン化の意義の解明を行う。具体的には、USP13の過剰発現、あるいはそのドメイン欠失変異体やRNA干渉法を用いて機能阻害を行ったヒト培養細胞において、ストレス顆粒の機能やストレス解除時のストレス顆粒の脱形成にどのような影響が出るかを解析する。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] タイトル未定2013
Author(s)
駒田 雅之
Organizer
第36回日本分子生物学会
Place of Presentation
神戸国際会議場(兵庫県)
Year and Date
2013-12-03 – 2013-12-06
Invited
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[Presentation] タイトル未定2013
Author(s)
駒田 雅之
Organizer
第86回日本生化学会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県)
Year and Date
2013-09-11 – 2013-09-13
Invited
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