2012 Fiscal Year Annual Research Report
Host cell competnecy for negative-stranded RNA viruses
Project Area | Molecular basis of host cell competency in virus infection |
Project/Area Number |
24115002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
永田 恭介 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40180492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴 三用 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (20291932)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | ウイルス / 宿主因子 / ゲノム複製 / 転写 / インフルエンザウイルス / RNA依存性RNAポリメラーゼ / 分子生物学 / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インフルエンザウイルスゲノムの機能制御に関わる宿主因子を同定し、それらの機能と分子構造を明らかにする。その上で、ウイルスの増殖と宿主生理機能の間で起こる宿主因子の奪い合いのメカニズムを明らかにすることである。 新規に複製されたウイルスゲノムは、ウイルスタンパク質NPと結合してribonucleoprotein (RNP)複合体を形成する。しかし、試験管内ゲノム複製反応に必須な宿主因子であるMCM複合体とNPを添加したのみでは、子孫RNP複合体は形成されない。これまで我々は、試験管内ゲノム複製系の再構成と解体により、この過程を促進する宿主因子として、スプライシングに関わる因子であるUAP56を同定し、ウイルスゲノム複製と協調してUAP56によってNPがウイルスゲノム上に配置されることを明らかにしている。そこで本年度では、UAP56とNPの複合体形成機構を解析した。まず、各種欠損変異体を用いた解析より、NPのN末端から20アミノ酸の領域がUAP56のC末端部分と結合することが明らかになった。一方、細胞内でのUAP56の標的因子であるU2AF65とNPのUAP56結合部位のalpha-ヘリックスのアミノ酸配置を比較したところ、共通して同じ表面上に疎水性アミノ酸残基が露出していることが明らかになった。さらに、保存された疎水性アミノ酸の点変異株を作出したところ、どの変異体でも顕著にUAP56との結合が低下し、ウイルス増殖が低下した。以上の結果より、NPはU2AF65とUAP56の結合を模倣することで、宿主生理機能系からUAP56をウイルスの増殖過程へとリクルートすると考えられた。また、インフルエンザウイルス感染により、スプライソソームが崩壊することも観察されており、UAP56のウイルス複製系へのリクルートにより、スプライシングが破綻していることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々が独自に構築した試験管内複製・転写系により同定した宿主因子とウイルスタンパク質の分子遺伝学的な相互作用機構を明らかにすることで、インフルエンザウイルスがどのように宿主のスプライシング装置から、宿主因子をウイルスの増殖過程へとリクルートするという新たな機構を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、NPとUAP56の相互作用部位の結晶構造解析を行い、さらに詳細な分子メカニズムを明らかにする。NPのUAP56結合ドメインは天然変性状態であり、UAP56と結合することで一定の構造を形成すると推測される。NPとUAP56の複合体構造を明らかにすることで、(1)変性領域を介して、どのようにターゲット分子が認識されるのか、(2)変性領域がどのように立体構造を形成するのか、など、構造生物学的にも重要な知見が得られると考えられる。さらに、スプライシング関連因子に着目して、他の宿主因子の同定も進める予定である。また、複製後の子孫ウイルスゲノムの細胞内動態に関しても解析をする予定である。
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Research Products
(32 results)