2015 Fiscal Year Annual Research Report
The dendritic spine as the microendophenotype of psychiatric disorders
Project Area | Unraveling micro-endophenotypes of psychiatric disorders at the molecular, cellular and circuit levels. |
Project/Area Number |
24116003
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
林 朗子 (高木朗子) 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (60415271)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 精神疾患 / 樹状突起スパイン / シナプス光遺伝学 / Functional connectomics |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、スパイン頭部の形態可塑性を誘発するプローブを開発する過程で、蛋白合成依存的な頭部増大を生じたスパインを特異的に標識するAS-PaRac1を開発した。さらに光刺激の最適化により、AS-PaRac1を発現するスパインだけを特異的に収縮する技術にも成功し、この操作により通常の運動には影響をあたえることなく獲得学習だけを消失することが可能になった。論文投稿の際、査読者の指摘に従って大量の追加実験を本年度(H27年度)に行った。具体的にはシナプス消去に伴うカルシウムイメージングや、また複数のタスク負荷によるシナプスマッピングやそれに伴う行動解析である。いずれもシナプス光遺伝学の精度を確認するためのものであり、これまでの仮説に矛盾しない結果を得られた。再投稿の末に、最終的に論文として受理された(Hayashi-Takagi, 2015, Nature)。さらに本年度は、このAS-PaRac1を確立・改良し、脳のいくつかの領域の学習記憶現象に応用し、各脳領域の学習記憶の細胞・神経回路基盤を可視化定量化し操作するfunctional connectomeを確立に着手した。具体的には、AS-PaRac1の問題点として、AS-PaRac1はシナプス後部だけを標識し、神経回路における主要な可塑性がシナプスの前部と後部の同調した活動が必要であることを考えれば、シナプスの前後を同時かつ2重に標識することでより精度の高い「機能的」コネクトミクスが達成出来るはずと考えた。そこで、AS-PaRac1とともにシナプス前部マーカー(mTurquoise fused VAMP2, mTq-VAMP2)、神経形態マーカー(Filler、Venus)を活動依存的に発現させる3重染色法のためのコンストラクトの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スパインを光遺伝学的に操作するSynaptic optogenetics法の開発は、予定通り論文投稿後、順調に論文改訂実験を行い、論文受理された。5年で完了する研究計画が、4年で完了したことを意味し、その後は本手法をさらに改善するための新戦略に着手しており、満足すべき結果と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
脳のいくつかの領域の学習記憶現象に応用し、各脳領域の学習記憶の細胞・神経回路基盤を可視化定量化し操作するfunctional connectomeを確立する。この新規プローブを用いて、まず心的外傷後ストレス障害(PTSD)モデルの病態可視化に挑戦する。そのためのコンストラクトを複数作成し、最適なものを選定する。コンストラクトの発現の強さや半減期を、プロモーターや蛋白質分解シグナルを選別することにより最適なものを定量的に選定する。AAVベクターに乗せ換えた後は、タイターを調整することにより、至適な発現条件をマウスを用いて探索し、シナプスの可塑性を大規模にマッピングする技術の創出に取りくむ。
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