2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Oxygen biology: a new criterion for integrated understanding of life |
Project/Area Number |
26111009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
住本 英樹 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30179303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 博史 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (50275088)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 活性酸素 / シグナル伝達 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 刺激応答型ROS生成酵素NADPHオキシダーゼ(Nox)の時空間的制御機構:高解像度の共焦点レーザー顕微鏡および生化学的細胞分画法などを用いて、種々の培養細胞においてNoxの細胞内局在を解明するための優れた方法を確立した。これらを用いて種々のNoxの局在部位と細胞膜への局在化機構を検討し、Nox5のみが他のNoxと異なる新規経路で細胞膜へ移行することを示した。さらに、この新規経路による細胞膜への移行を調節するタンパク質-タンパク質相互作用とタンパク質修飾を明らかにした。また、それぞれの細胞内局在部位におけるNoxのROS生成活性調節は、NoxのC末端側細胞質ドメイン中のNADPH結合領域によって規定されることを示した。 (2) Nox活性化とカップルした哺乳類細胞の機能調節:細胞膜タンパク質および分泌タンパク質ではジスルフィド結合が形成されることが多く、また一般にこのジスルフィド結合形成がタンパク質の機能に必須であることが知られているが、Noxが生成するROSがジスルフィド結合形成に直接関与しうることを実験的に明らかにした。 (3) 酵母のNO合成制御機構:Dre2の過剰発現によりTah18発現抑制株と同程度までNOレベルは低下し、発現抑制により野生型株と比べてNOレベルは増加したことから、Dre2がNO合成酵素活性を阻害することが示された。 (4) 大腸菌のイオウ同化制御機構:イオウ源がチオ硫酸塩の場合、硫酸塩と比べて細胞内に亜硫酸イオンや硫化物イオンが蓄積した。酵母においてもチオ硫酸転移酵素のイオウ同化への関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 刺激応答型ROS生成酵素Noxの時空間的制御機構:「研究実績の概要」の項で述べた「Nox5が他のNoxと異なる新規経路で細胞膜へ移行することを示した」のは、極めて重要な発見であると考えている。現在は、この新規経路による細胞膜への移行の分子メカニズムについて更な解析を進めており、この解析が可能となったこと自体が、研究が順調に進展していることを表している。 (2) Nox活性化とカップルした哺乳類細胞の機能調節:研究実績の概要」の項で述べた「Noxが生成するROSがジスルフィド結合形成に直接関与しうることを示した」のは、世界で初めての例である。極めて重要な発見であり、現在は、そのシステムの調節メカニズムについて詳細な検討を行っているところである。このように、研究は順調に進展していると考えている。 (3) 酵母のNO合成制御機構:過酸化水素や高温などの酸化ストレスに応答して、Dre2がTah18から解離するまたは分解されることを確認し、昨年度の結果の再現性を得た。また、過剰発現株や発現抑制株の解析から、Dre2がTah18依存的なNO合成酵素活性を阻害することが判明した。以上の結果から、Dre2が酸化ストレスのセンサー分子として働き、NO合成を制御する機構を提唱した。 (4) 大腸菌のイオウ同化制御機構:昨年度構築したメタボローム解析システムを用い、細胞内のイオウ関連代謝物を定量した。その結果、イオウ源がチオ硫酸塩の場合、硫酸塩と比べて亜硫酸イオンや硫化物イオン、ホモシステインやグルタチオンが蓄積していた。また、遺伝子破壊株の解析から、酵母においても大腸菌と同様にチオ硫酸転移酵素がイオウ同化に関与することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 刺激応答型ROS生成酵素Noxの時空間的制御機構:順調に進展しており、現時点では研究計画の変更等は考えていない。 (2) Nox活性化とカップルした哺乳類細胞の機能調節:順調に進展しており、現時点では研究計画の変更等は考えていない。 (3) 酵母のNO合成制御機構:Tah18-Dre2複合体によるNO合成制御モデルを証明するため、Tah18及びDre2の相互作用に関わる残基を同定する。また、酵母のオキシゲナーゼ様タンパク質を同定し、NO合成における機能を解析する。 (4) 大腸菌のイオウ同化制御機構:研究協力者の異動に伴い、大腸菌の研究計画を中断する。今後、大腸菌と同様にチオ硫酸塩からのシステイン合成経路の存在が示唆された酵母を用いて、イオウ同化制御機構を解析する。
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[Journal Article] Finding of thiosulfate pathway for synthesis of organic sulfur compounds in Saccharomyces cerevisiae and improvement of ethanol production.2015
Author(s)
Funahashi E, Saiki K, Honda K, Sugiura Y, Kawano Y, Ohtsu I, Watanabe D, Wakabayashi Y, Abe T, Nakanishi T, Suematsu M, Takagi H.
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Journal Title
J Biosci Bioeng.
Volume: 120
Pages: 666-9
DOI
Peer Reviewed
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