1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01041001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡田 宏明 北海道大学, 文学部, 教授 (50002283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
オルソン W.M. アラスカ大学, サウスイースト校, 教授
矢島 国雄 明治大学, 文学部, 助教授 (70130838)
岡田 淳子 北海道東海大学, 国際文化学部, 教授 (80050780)
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Keywords | 北米北西海岸 / 海洋適応 / 貝塚 / トリンギット族 / ハイダ族 / 古環境復元 |
Research Abstract |
7月13、14両日にカナダ・ブリティシュコロンビア州のチムシアン族クサ-ン集落に滞在し、関連資料調査。7月17日から27日までプリンス・オブ・ウェルズ島南部のハンタ-・ベイで貝塚の発堀調査。7月30日から8月13まで、ヘケタ島第3地点の貝塚の発堀調査を実施。8月15日以降26日まで、ケチカン・ジュノ-・アンカレッジ・フェアバンクス等で関連資料を調査し、現地の研究者と情報や意見の交換を行った。ハンタ-・ベイおよびヘケタ島第3地点の調査により、これまで当地域に知られていなかった大貝塚の存在を確認し、1000〜2000年前の生活を物語る資料が検出された。両貝塚から発見された漁槍などの骨角器、打製石器は比較的少なく、数十点程度であるが、この時期の資料は皆無に近いため学術的価値が高い。14C年代測定、花粉分析、脂肪酸分析のための試料も両貝塚から豊富に採取できたので、来年に詳細な分析を行う予定である。また、深さ4mに達する貝の堆積状況、採取された貝・獣骨・魚骨は過去の生態環境復元を可能にする資料として期待される。今回の調査によって、8000年前から最近にいたる東南アラスカ原住民の歴史の空白を埋める資料が入手できたといえる。ハンタ-・ベイ地区で今回実施したもう一つの調査として、ハイダ族のクリンクワン廃村の踏査がある。1910年頃まで人びとが居住していたこの廃村の知見は、過去における家屋や墓地の配置を知る上に有益である。上記クサン集落のほかに、トリンギット族のサックスマン、クラックワン等の集落を実見しえたことも、この地域の民族誌復元のために役立つことが多い。研究代表者が8月20日から25日まで、フェアバンクスのイヌイト研究国際会議に出席し、各地の研究者と情報や意見を交換しえたことも特筆に値する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 岡田 宏明、岡田 淳子編: "シンポジウム:北の民族と生活" 「北方民族文化シンポジウム」(網走市). 2. 1-129 (1989)
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[Publications] 岡田 宏明: "エスキモ-研究の歩み" 『日本民族学の歴史』(ドイツ日本文化研究所). (1991)
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[Publications] 岡田 淳子: "民族考古学の一試論" 「古代」(石稲田大学考古学会). 90. 231-242 (1990)
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[Publications] 岡田 宏明,W.M.オルソン他: "Investigations in Southeast Alaska" Alaska Anthropological Association. (1991)
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[Publications] 岡田 宏明他: "“Heceta Island,Southeastern Alaska:an Anthropological Survey in 1987"" 北海道大学文学部行動科学科, 1-78 (1987)