1990 Fiscal Year Annual Research Report
中華人民共和国雲南省における家畜の品種分化に関する遺伝学的調査
Project/Area Number |
01041075
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 勉 鹿児島大学, 農学部, 教授 (80041614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 亜平 中国科学院, 昆明動物研究所, 助手
楊 鳳堂 中国科学院, 昆明動物研究所, 助手
朱 静 中国科学院, 昆明動物研究所, 助手
許 文博 雲南農業大学, 副教授
劉 愛華 中国科学院, 昆明動物研究所, 副教授
施 立明 中国科学院, 昆明動物研究所, 教授
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (00177750)
並河 鷹夫 名古屋大学, 農学部, 助教授 (70111838)
天野 卓 東京農業大学, 農学部, 助教授 (90078147)
前田 芳實 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (50041661)
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Keywords | 中国雲南省 / 在来鶏 / 黄牛 / 水牛 / 家畜遺伝資源 / 血液型 / 血液蛋白質型 / 核型分析 |
Research Abstract |
平成2年度においては、雲南省の在来鶏ならびに黄牛、水牛および野生牛であるガヤ-ルについて形態学的・遺伝学的調査を行った。先ず在来鶏では、武定鶏、茶花鶏、洋〓鶏および版納闘鶏について、羽色、羽装、冠型、脚色などの形態形質を個体毎に調査し、集団での遺伝子構成を推定した。さらに、各品種の経済能力についても調査を行った。その結果、雲南省の在来鶏は改良種との交雑が殆ど行われておらず、卵用または肉用種としての貴重な家〓遺伝資源であることが判明した。一方、血液蛋白質型および卵白蛋白質型について電気泳動法により分析を行うと共に、染色体の核型分析を行った。形態形質および血液・卵白蛋白質の分析結果から、特に版納闘鶏は、雲南省と国境を接するミャンマ-、ラオス、ベトナムの在来鶏の遺伝的影響を受けていることが示唆された。つぎに黄牛については、〓川牛、大理黄牛、版納黄牛ならびに野生牛であるガヤ-ルを、また水牛については、版納水牛および下関水牛の毛色などの形態形質の調査と体尺測定を行った。さらに、各個体から血液を採取し血液型、血液蛋白質型および核型分析ならびに乳について乳蛋白質型の分析を行った。これらの分析結果から、黄牛および水牛ともに、雲南省内の大理地区と熱帯地域の西双版納地区とでは、集団の遺伝子構成が異なり、特に版納黄牛はゼブ(Bos indicus)の遺伝的影響を受けていることが示唆された。雲南省は、在来鶏、黄牛および水牛ともに品種の種類、飼養頭数が多く、また欧米の改良種の導入による交雑が少ない点で貴重な家畜遺伝資源を保有しているといえる。しかし、在来鶏の各品種は放し飼いによる庭先養鶏が多いこと、また、在来牛については、乳用種としてホルスタインの導入による交雑がはかられている点などから、貴重な家畜遺伝資源の維持・保存に今後十分留意する必要性を痛感されられた。
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