1990 Fiscal Year Annual Research Report
日本とシベリアとの先史文化交流に関する日ソ共同調査
Project/Area Number |
01044024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 強 東京大学, 文学部, 教授 (60011293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ソロウ゛ィヨフ A.I. 歴史言語哲学研究所, 研究員
キリューシン Yu.F. アルタイ大学, 教授
ペトリン V.T. 歴史言語哲学研究所, 研究員
サカ゛ラエフ A.M. 歴史言語哲学研究所, 研究員
チキシェワ T.A. 歴史言語哲学研究所, 研究員
モロージン A.I. 歴史言語哲学研究所, 部長
デレビャンコ A.P. 歴史言語哲学研究所, 所長
岡村 道雄 文化庁, 記念物課, 調査官
松本 秀雄 大阪医科大学, 学長 (30084809)
佐々木 高明 国立民族学博物館, 教授 (10031692)
加藤 九祚 創価大学, 文学部, 教授 (40070718)
橘 昌信 別府大学, 文学部, 教授 (90078832)
田中 琢 国立奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, センター長 (40099958)
加藤 晋平 千葉大学, 教養部, 教授 (90091892)
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Keywords | 日本 / シベリア / 先史時代 / 文化交流 / 旧石器時代 / 細石刃 |
Research Abstract |
藤本強東大教授、岡村道雄文化庁調査員、研究協力者である桝本哲大阪府埋蔵文化財調査センタ-研究員の3名は、シベリアの旧石器時代の遺跡を歴訪し、遺跡のあり方、遺跡の規模と環境の相関関係を調査した。さらにソヴィエト科学アカデミ-歴史・文献・哲学研究所において、収集されていた旧石器時代、新石器時代、鉄器時代の遺物の分析を共同で実施し、先史時代の日本とシベリアとの文化交流を具体的に物語る証拠を抽出した。 一方、遺伝学を担当する松本秀雄大阪医科大学学長はソヴィエト科学アカデミ-遺伝学研究所の研究者と討論を深め、日本とシベリアの人類の関係について長期にわたる共同調査が必要であるとの一致した結論を得て、新しい体制の下に共同調査を開始することになった。加藤晋平千葉大学教授は、ソヴィエト科学アカデミ-歴史・文献・哲学研究所で、従来の調査で得られている旧石器時代の遺物について共同討議した。 新たな知見は北海道と極東アム-ル河中流域の細石刃の間で抽出できた。細石刃というのは、旧石器時代の終末に世界的に広く見られる石器であるが、この時期の石器群の中核をなす重要な石器である。北海道東部の常呂川流域にある緑丘遺跡出土の細石刃とアム-ル河の支流であるゼ-ヤ川流域のウスチ・ウリマ遺跡出土の細石刃の間に完全ともいえる一致が見られた。これは統計学的な検証がなされており、細石刃の平均値のt検定においても、比率のx^2検定においても完全に一致するとみて差し支えない値が得られている。昨年の国産の黒曜石が広くシベリアに持ち込まれているという成果についで、この共同研究によって生れた新しい成果である。
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Research Products
(1 results)