大学個性化のための多元的大学評価法の研究

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01301038
• Research Institution: National Institute of Multimedia Education
• Principal Investigator: 大塚 雄作 放送教育開発センター, 研究販売部, 助教授 (00160549)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 田中 義郎 桜美林大学, 国際学部, 講師 ; 岩永 雅也 放送大学, 助教授 (30151749) ; 荒井 克弘 国立教育研究所, 教育政策研究部, 室長 (90133610) ; 別府 昭郎 明治大学, 文学部, 教授 (70062015) ; 安原 義仁 広島大学, 教育学部, 助教授 (00093823)
• Keywords: 大学の個性化 / 多元的大学評価法 / 高等教育の国際比較 / 入学者選抜 / 教育・カリキュラム評価 / 研究評価 / 大学基準 / 生涯学習社会

Research Abstract

近年、日本では、高等教育へのニ-ズの多様化が顕著になりつつあり教育の個性化が問題とされてきている。しかし、高等教育の個性化とその効果の評価に関する知見の積み重ねは少ない。そこで、本研究では、日本・アメリカ・イギリス・ドイツの高等教育の実情を、高等教育へのニ-ズとそれに対応するシステム、さらに、そのシステムを評価する手法などの観点から、文献・資料を中心として検討した。日本では、放送大学の初めての卒業生を中心とした調査から、多岐にわたる学生の関心に応じた生涯学習への期待の強さと共に、高等教育としての水準の維持にその期待の拠り所のあることが浮き彫りにされている。そのような多様なニ-ズに応えるためのヒントとして、卒業がなく、ある地域の大学間で自由に聴講ができるシステムをとっているドイツの例、一般教養科目などに関して放送大学を利用し、それ以外の部分で個性的な教育を導入しようという日本の私学の例、他国に進出することによって異文化交流を通した多様化を図ろうとするアメリカの一部の例などが検討された。個性化に対応した高等教育に関する評価の手法として、アメリカ・イギリスなどの、学生に関する評価(入学者選抜を含む)、教育・カリキュラムに関する評価、研究業績に関する評価、大学基準に参照するところの高等教育機関に関する評価などの観点から、いわば多元的な評価の実践がすでに報告されている。一方で、個性化に際して、高等教育の水準の維持が問題となるが、学位試験などに他大学から評価担当の教官を招聘するシステムをとっているイギリスの例などが一つの可能性として検討された。以上のような検討から、個性化を図りつつ、高等教育の水準を維持するために、どのような方策が実際に考えられ、さらにその効果をどう評価するかなど、各国のかなり異なった高等教育の実情を踏まえた上で、次年度に比較調査する必要性が確認された。