1989 Fiscal Year Annual Research Report
中古日本語における漢字音受容史解明のための基礎的研究
Project/Area Number |
01301053
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小松 英雄 筑波大学, 文芸・言語学系, 教授 (80015354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 史 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (80170984)
小倉 肇 弘前大学, 教育学部, 助教授 (00091596)
坪井 美樹 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (40114300)
湯沢 質幸 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (90007162)
林 史典 筑波大学, 文芸・言語学系, 助教授 (30009617)
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Keywords | 中古日本語 / 漢字音受容 / 呉音 / 漢音 / 法華経 / 聚分韻略 |
Research Abstract |
今年度は全体計画に沿っておおよそ次のような活動を行い、一定の研究成果を得ると共に、次年度以降の研究の基盤を設けることができた。 (1)中古日本語における漢字音=呉音漢音受容の実態を漢字音そのものの面から把握する上で利用価値が高いと見込まれるパソコンに、どの様なプログラムを組み込むべきか、この問題についての解決を見た。すなわち、昨年10月12日の二度に渡る打ち合せにおける検討の結果、湯沢が独自に開発を進めているプログラムの特色を生かしつつ、市販ソフトの利用することによって、漢字音の整理が容易に行えるとの見とおしを得た。現在、両者の結合を図り、作業を進めている。次年度早々に、デ-タ処理に取り組む予定である。 (2)研究分担者が手分けをして、中古日本漢字音資料の調査に当り、考察を加えた結果、所期の研究目的を達するには『法華経』の各種音義、あるいは時代は下るが『聚分韻略』各種を基本文献とすることが明らかになって来た。すなわち両文献所載の漢字加点の音の整理から始めて、中古期における日本漢字音受容の実態に接近するのが現段階における最良の方法との結論に達した。 (3)文化史的観点から中古期における漢字音受容を明らかにすべく、漢字音受容の開始された上古からさらには現在に至るまでの政治史、外交史、教育史等と漢字音受容のあり方を総合的見地にたって追究した。その方面を担当者の研究成果として、今年度は3つの論文の発表があった。来年度以降は、その成果を踏まえ、中古期の文化史的背景を明らかにして行く予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 湯沢質幸: "上代における呉音と漢音" 奥村三雄教授退官記念国語学論叢. 352-366 (1989)
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[Publications] 湯沢質幸: "江戸後期の韻学" 国語国文. 59-1. 33-49 (1990)
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[Publications] 小松英雄: "五音と誦文" 日本語学. 9-2. 30-38 (1990)