1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01302055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川合 英夫 京都大学, 農学部, 教授 (00026543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 正博 京都大学, 農学部, 教務技官
小川 嘉彦 中央水産研究所, 海洋環境研究官
柏井 誠 北海道区水産研究所, 海洋環境部, 部長 (40124755)
杉本 隆成 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40004428)
坂本 亘 京都大学, 農学部, 助教授 (50013587)
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Keywords | 流れの構造 / 流動環境 / 海流 / 水産生物 / 再生産 / 卵仔稚 / 資源培養 / 漁場 |
Research Abstract |
本研究においては、収集した試料の測定、資料の解析、室内実験などに重点をおき、現場調査は補足的に実施した。研究分担者が摘出した問題点を克服するような解析と取りまとめを、下記の4分野において実施した。 (1)再生産と流動環境[俵・小林・友定・松下・上野・田中]:魚卵・前期仔魚・後期仔魚・稚魚の発育段階の違いによる、生物の分布・移動と流動環境との対応関係の変化についても研究した。 (2)資源培養と流動環境[柏井・杜多・小松]:とくに湾口水路における海水交換と生物の分布・移動、海中構造物により造成された循環流と生物分布との関連、藻場と流れとの相互作用について研究した。 (3)漁場形成と流動環境[杉本・井上・小川・平井・原]:黒潮・東シナ海海底流・対馬海流・津軽海流・親潮と漁場・魚群の分布・移動・停滞との関連について研究した。 (4)測定と解析の方法論[川合・坂本・小松・杉本・柏井]:上記の各項目に関連した流動環境(たとえば、収束発散、藻場内外の流れの強さの細密分布、湾内の海水循環など)の測定・解析(たとえば、石膏球の溶解速度や漂流系などによる測流法)の測定・解析(たとえば、石膏球の溶解速度や漂流系などによる測流法)、移動中の生物個体に相対的な流動環境の測定・解析などの方法論に関する研究をした。 本研究課題と密接に関連のあるシンポジウム「流れの構造と水産動植物の分布と移動の研究」を、東京大学海洋研究所の共同利用施設を利用して、平成元年12月12日と13日に開催したが、本研究の分担研究者以外にも多数の研究者の参加があった。とくに、本研究は、上記の4分野にまたがっているため、研究分担者の専門分野が、魚類生態・漁業生物・資源・漁海況・水産生物環境・水産土木・リモ-トセンシング・海洋物理など多岐にわたっている。しかも、藻場程度の小スケ-ルから沖合漁場までの大スケ-ルの場で起きている異質な現象を扱っている。本シンポジウムにおいては、このように研究対象・専門分野・所属機関の異なる研究分担者が、それぞれ独特な研究手法を披露し、問題点のありかを明白にするように努め、新しい研究方法論を模索しあって、極めて有意義であった。 次年度においては、これらの成果を踏まえ、緊密に協働して本研究の取りまとめを行い、学際的な分野の研究手法の開発に向けて、研究を進める予定である。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 坂本亘: "Circadian rhythm on diving motion of the loggerhead turtle Caretta caretta during inter-nesting and its fluctuations induced by the oceanic environmental events" 日本水産学会誌. 56. (1990)
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[Publications] 坂本亘: "Thermal adaptation of the female loggerhead turtle near the frontal zone" 日本水産学会誌.
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[Publications] 小松輝久・川合英夫・坂本亘: "海陽環境に及ぼすがら藻場の影響" 沿岸海洋研究ノ-ト. 27. 115-126 (1990)
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[Publications] 小松輝久・川合英夫: "石膏球を用いて海藻・海草群落における流れの強さの測定法法" 日本水産学会誌.
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[Publications] 上野正博: "卵仔魚採集個体数の平均値と分散の関係" 日本水産学会誌.
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[Publications] 木村伸吾・杉本隆成: "熊野灘。遠州灘沿京域への黒潮系暖水の流入過程" 水産海洋研究. 54. 19-31 (1990)
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[Publications] 松下克己: "暖水塊フロントにおける受遊卵・仔魚の分布構造" 月刊海洋. 21. 675-683 (1989)
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[Publications] 松下克己: "Possible importance of inshore-offshore dispersalfor prevailed pelagic fish recruitment" Pergamon Press.
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[Publications] 杉本隆成・小林稚人・松下克己・木村伸吾: "circulation and transport environment fro sardine eggs and larvae in Tosa Bay" Proc.Symp,on the long term variability of pelagic fish populations and their environment,Sendai,Pergamon Press,London. 9 (1990)
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[Publications] 田中祐志: "Change in the egg buoyancy of Japanese anchovy Engraulis japonicus during embryonic development" 日本水産学会誌. 56. 165 (1990)
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[Publications] 田中祐志: "The buoyancy and vertical distribution of Japanese anchovy (Engraulis japonicus) eggs" Proc.of 2nd Asian Fisheries Forum(ed,by Asian Fisheries Society). 165 (1990)
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[Publications] 平井光行: "マサバ太平洋群の資源の動態" 東北区書水産研究所報告. 52. (1990)
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[Publications] 友定彰: "Transportation of eggs and larvae of mackerel,Scomber japonicus(Houttuyn),by the Kuroshio Current" Canadian Sp.Pub.Fish,Aquat, Sci,. 108. 297-303 (1989)
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[Publications] 杜多哲: "浮遊幼生の分散におよぼす流動環境の影響とその制御" 養殖研究所報告. 16. 1-82 (1989)
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[Publications] 原一郎: "Krrors in the stock assessment of the Japanese sardine(sardinops melanosticta)using the Line-transect method" Canadian Sp,Pub,Fish,Aquat,Sci,. 108. 43-50 (1989)