1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01304020
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
山中 英明 東京水産大学, 水産学部, 教授 (20092596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 終五 東京大学, 農学部, 助手 (40111489)
関 伸夫 北海道大学, 水産学部, 助教授 (20002090)
畑江 敬子 お茶の水女子大学, 家政学部, 助教授 (50156337)
槌本 六良 長崎大学, 水産学部, 教授 (20080525)
橋本 周久 茨城大学, 教育学部, 教授 (30011828)
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Keywords | 死後硬直 / 筋原線維 / 筋小胞体 / Mg^<2+>-ATPase活性 / カルシウムイオン / あらい / 運動飼育 / カルパイン |
Research Abstract |
1.死後硬直は貯蔵温度に依存して進行し、筋原線維や筋小胞体の性状が関与するとされている。コイを10℃又は30℃で1ヵ月以上飼育し、即殺後筋原線維及び筋小胞体を調製した。10℃順化コイの筋原線維Mg^<2+>-ATPase活性は0.25mMCa^<2+>存在下、いずれの測定温度でも30℃順化コイの場合より有意に高かった。筋小胞体のCa^<2+>取り込み能は0℃及び10℃の測定温度では10℃順化コイの方が30℃順化コイより高かった。2.水温5°,10°,20°及び30℃に予め順応させたコイを即殺後0℃及び10℃に貯蔵し、硬直度を測定した。順応温度と貯蔵温度の差が大きくなるほど硬直時間は顕著に短縮され、硬直度も高くなることが明らかになった。3.コイを試料として0°,18°,49℃で"あらい"を作り、ATP関連化合物の分析、物性測定などを行なったところ、"あらい"中のATPが1μmol/g以下になると強い硬直が起こることがわかった。49℃,20秒間の高温"あらい"が硬直が最も強く、テクスチャ-,官能判定からも優れていた。0℃と18℃の"あらい"の物性は類似しており、49℃の"あらい"とは異なっていた。4.養殖マダイを2.5BL/secで1日12時間遊泳運動させて30日間飼育し、運動飼育が死後硬直に及ぼす影響を調べたところ、死後硬直、乳酸生成およびATP分解は運動飼育群が非運動飼育群に比べて遅かった。又、普通筋肉の筋タイプは養殖魚と天然魚では著しく異なり、運動飼育によって天然魚の筋タイプに近づいた。5.解硬はCa^<2+>の直接作用あるいはCa^<2+>で活性化されるプロテア-ゼ(カルパイン)の作用で引き起こされると推測されている。ATPで収縮させた筋原線維の貯蔵中のCa^<2+>の影響およびカルパイン処理による変化をみると、貯蔵中に筋原線維からαーアクチニン,トロポミオシンなど7%のタンパクが可溶化されたが、Ca^<2+>の有無による差は小さかった。カルパイン処理では多量のαーアクチニンが遊離された。これらの結果は筋原線維の脆弱化を示すものである。
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