1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01410010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梅原 郁 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (00027541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 進 京都大学人文科学研究所, 助手 (40168448)
冨谷 至 京都大学人文科学研究所, 助教授 (70127108)
愛宕 元 京都大学, 教養部, 助教授 (70027548)
砺波 護 京都大学人文科学研究所, 教授 (10027534)
竺沙 雅章 京都大学, 文学部, 教授 (50025029)
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Keywords | 慶元条法事類 / 明板清明集 / 勅令格式 / 判例 / 宋刑統 / 律令格式 / 法制(旧中国) / 刑法志 |
Research Abstract |
先に提出した平成2年度の研究計画に沿い、大綱は予定通り研究が遂行でき、また一部には予定以上に研究を行い得た部分もある。 1)13世紀南宋時代の極めて貴重な判例集『明板清明集』を、前年度までに引続き、そのすべてを読了した。この中には他の資料には見られぬ貴重な記録が豊富に含まれている。そしてまた南宋時代の州以上のレベルでの裁判と法令の運用の実際について、貴重な知識が得られる、この資料を学界共通の財産とするために、昨年度に引続き、法制、社会制度史をはじめとした語彙索引を作成しつつある、現在収録語は6万を超えるが、今年度よりコンピュ-タ-を使用して、デ-タ-ベ-スとしても活用できるように準備をはじめている。 2)初年度より計画していた、二つの南宋の主要法典である『慶元条法事類』と『明板清明集』は、予定通りにその精読、討論を通じて、分析をおえることができた。しかし、この両書は、他の基本的な法制史料と有機的に関連させて、はじめてより大きな役割を果す、そこで、本年度には、共同研究の形式で研究協力者が定期的に会合し、歴代正史の中から、近世と関係する『五代史』『宋史』『遼史』『金史』と『元史』の各刑法志の輪読を開始した。すでに金史までを読了し、その成果は現代日本語の訳注として公刊するが、さしあたり、京都大学人文科学研究所の紀要である『東方学報』にその未定稿を掲載してゆきたい。 3)研究計画にもとずき、新出土資料の簡牘類中に含まれる法文の解読や、東大東洋文化研所蔵の清代判例などの輪読や分析も、それぞれの時代を専攻する研究協力者の手で続行されている。これらを集成しつつ秦漢時代から六朝隋唐、そして宋代、さらに宋以後という法体系の流れを構造的に明らかにするため、各人が個別に法制関係の論文を執筆しつつある。来年度以降はその完成を目指して努力する所存である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 梅原 郁: "宋代都市の房〓とその周辺" 布目潮〓博士 古稀記念論集 東アジアの法と社会. 329-357 (1990)
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[Publications] 梅原 郁: "Castle cities of Old China" East Asian Cultural Studies. 29. 103-127 (1990)
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[Publications] 愛宕 元: "唐代榮陽鄭氏の研究" 人文(京都大学教養部)紀要35. 35. 1-40 (1990)
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[Publications] 冨谷 至: "漢代辺境の関所" 東洋史研究. 48ー2. 1-39 (1990)
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[Publications] 井上 進: "方志の位置" 山根幸夫教授退休記念 明代史論叢. 1289-1306 (1990)
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[Publications] 井上 進: "藏書と讀書" 東方学報,京都. 62. 409-445 (1990)