1989 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期オピニオン・ジャ-ナリズムの実態と政治的機能ー「改造」から「革新」へー
Project/Area Number |
01410016
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
和田 守 静岡大学, 人文学部, 教授 (80007236)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穴見 明 静岡大学, 人文学部, 助教授 (70144102)
山本 義彦 静岡大学, 人文学部, 教授 (70022291)
安藤 実 静岡大学, 人文学部, 教授 (80021822)
松田 竹男 静岡大学, 人文学部, 教授 (30022437)
名和 鉄郎 静岡大学, 人文学部, 教授 (70022423)
|
Keywords | 戦間期 / 非常時 / 世界恐慌 / 大正デモクラシ- / オピニオン・ジャ-ナリズム / 民衆操作 / 改造 / 革新 |
Research Abstract |
1.戦間期は民衆勢力の政治的抬頭を背景にオピニオン・ジャ-ナリズムが活況を呈した時期である。ジャ-ナリズムそのものも「民衆化」が求められた時期であったが、他方では「商業化」が進行した。この両者が関連した実態について、民友社・国民新聞社の事例研究をおこない、オピニオンの形態上の特色を分析した。 2.雑誌に関して、この時期を代表する総合雑誌『改造』『中央公論』について、論説テ-マ・執筆者の分類整理を進めており、今年度は大正後半期「改造」の時代を特色づける記事を抽出し分析をおこなっている。この作業にはパソコンを活用しデ-タ整理を実施している。 3.特定分野誌に関して、既設の『法律時報』『他山の石』などのほか『社会運動通信』『国際知識及評論』などを購入し、記事・論説の整理分析を進めている。また、『自由通商』については大阪市立大学所蔵本を調査し目録を作成した。各分野の専門性に加えて国民一般への啓蒙的色彩を強めている特色を看取することができたが、体系的分析は次年度の課題である。 4.地方誌の刊行状況調査にも力を注いだ。そのため各地での調査を実施し多くの成果を得た。たとえば、地域の歴史研究と結びついた山形県の『葛麓』、自由大学運動と関連した鳥取県の『水脈』『懐人』など民衆レベルでの改造気運の広がりを示しており興味深いものがあった。地域比較を進めることも今後の課題である。 5.“Nation"ならびに『外国雑誌重要記事索引』の購入により国際比較の便をはかった。主としてこの分野を担当する佐藤助教授(在外研究出張中)の帰国をまって本格的研究を進めることにしている。 6.次年度、時期的には昭和期「革新」の時代に重点をおき、調査・研究を進める予定である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 和田守: "民友社・国民新聞社の経営" 『近代日本と徳富蘇峰』(和田守・御茶の水書房). 125-198 (1990)
-
[Publications] 穴見明: "大衆文化と国民統合" 静岡大学『法経研究』. 39. (1990)
-
[Publications] 安藤実: "小日本主義の源流と展開" 静岡大学『法経研究』. 39. (1990)
-
[Publications] 名和鉄郎: "戦間期の法律雑誌" 静岡大学『法経研究』. 40. (1991)
-
[Publications] 松田竹男: "国際連盟の成立と外交雑誌" 静岡大学『法経研究』. 40. (1991)
-
[Publications] 山本義彦: "戦間期日本資本主義と経済雑誌" 静岡大学『法経研究』. 41. (1992)
-
[Publications] 山本義彦(編・解説): "清沢洌『暗黒日記』" 岩波書店, 450 (1990)
-
[Publications] 和田守(編): "戦間期のオピニオン・ジャ-ナリズム" 御茶の水書房, 300 (1992)