1989 Fiscal Year Annual Research Report
有機高分子薄膜の非線形光学効果とその応用に関する研究
Project/Area Number |
01420016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
国府田 隆夫 東京大学, 工学部, 教授 (50010715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保寺 憲一 NTT, 光エレクトロニクス研究所, グループリーダー
富岡 明宏 東京大学, 工学部, 助手 (10211400)
宮野 健次郎 東京大学, 工学部, 助教授 (90167677)
石川 謙 東京大学, 工学部, 教務職員 (10176159)
岩佐 義宏 東京大学, 工学部, 助手 (20184864)
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Keywords | 有機薄膜 / 有機高分子 / 非線形光学材料 / 共役系高分子 / 非線形光学特性 |
Research Abstract |
4年間にわたる研究計画の第1年度として、本年度においては主として次の項目に関して研究を行った。まず、本研究の目標としている有機非線形光学材料について、大きな非線形光学特性の発現と、将来の素子化に適した薄膜作製に適した有機高分子材料の設計と合成を行った。特に本研究者らが従来より研究を行ってきた共役系高分子ポリジアセチレンについては、これまでの研究成果に基づいて独自の側鎖置換基をもった一連の物質を合成し、これを原料とした真空蒸着膜について、高交の配向性をもった薄膜試料の作製技術を確立することができた。種々な物性測定により、これらの高配向膜の構造と光学的性質の評価を行った。また、真空蒸着法以外に分子配向性の制御された単分子膜状態のポリジアセチレンを、ラングミュア・ブロジェット(LB)法により作製した。水面上に展開された単量体分子を光重合する際のダイナミクスを詳しく調べ、独自の手法により巨視的サイズの配向領域を発達させることができることを明らかにした。上記の真空蒸着法とLB法の長所を組み合わせることにより、将来の光導波路構造の作製に必要とされる低損失薄膜作製の基礎的技術を開発する展望が得られた。 高配向性ポリジアセチレン薄膜を用いて、その3次非線形光学特性を従来にない精度で測定することができた。励起レ-ザ-光のエネルギ-を変化されたときの3次光高調波光の測定を行い、その結果を解析して3次非線形感受率のエネルギ-依存性(分散)を精密に調べた。ポリジアセチレンに特有な青色相と赤色相のいずれについても、主鎖上の共役pi電子の励起状態(励起子)に対する鋭い3光子共鳴効果が見出され、非線形光学応答の微視的機構についての重要な知見を与えた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Ishikawa,K.Fukagai,T.Kanetake,T.Koda,Y.Tokura and S.Koshihara: "Dynamical Aspects of Photoーinduced Phase Transition in Polydiacetylene" Synthetic Metals. 28. D605-D612 (1989)
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[Publications] T.Kanetake,K.Ishikawa,T.Hasegawa,T.Koda,T.Takeda,M.Hasegawa,K.Kubodera and H.kobayashi: "Nonlinear Optical Properties of Highly Oriented Polydiacetylene Evaporated Films" Applied Physics Letters. 54. 2287-2289 (1989)
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[Publications] 石川謙,国府田隆夫: "共役系高分子の非線形光学効果" 表面技術. 40. 8-12 (1989)
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[Publications] K.Miyano and A.Mori: "A Simple Langmuir Trough for an Inverted Fluorescence Microscope" Japanese Journal of Applied Physics. 28. 252-257 (1989)
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[Publications] T.Hasegawa,K.Ishikawa,T.Kanetake,T.Koda,K.Takeda,H.Kobayashi,K.Kubodera: "Excitonic Resonance Effect in the Thirdーorder Nonlinear Optical Properties of Blue and Redーform Polydiacetylene Films" Physical Review B.
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[Publications] T.Kanetake,T.Hasegawa,K.Ishikawa,T.Koda and K.Takeda: "Growth and Characterization of Highlyーoviented Polydiacetylene Films prepared by Vacuum Deposition" Japanese Journal of Applied Physics.
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[Publications] T.Kanetake,K.Ishikawa,T.Koda,K.Takeda,K.Kubodera and H.Kobayashi.: "Nonlinear Optics of Organics and Semiconductors" SpringerーVerlag, 184-187 (1989)