1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01440086
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本村 幸子 筑波大学, 臨床医学系・(眼科学), 教授 (30110505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 康久 筑波大学, 臨床医学系(眼科学), 講師 (80151405)
入江 勇治 筑波大学, 基礎医学系(医生物学), 助教授 (80110485)
石井 圭一 法政大学, 教養部(原生動物学), 教授 (40060983)
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Keywords | アカントアメ-バ / 角膜炎 / 土壌分布 / 標準培養法 / 殺シスト / 3者併用療法 / 過酸化水素 / 臨床像 |
Research Abstract |
角膜炎患者6名よりアカントアメ-バを分離し,その同定を行なった。従来分離されたもの以外にA.culbertsoni.A.quindが得られた。感染源として重視すべき土壌内の分布を札幌,東京,那覇で行ない,各々70.5,73.9,57.6%に出現した。日本では外国以上にアメ-バが分布していることが判った。また土壌内における垂直分布についても調査した。しかし10〜50cmの範囲では差がなかった。さらに風によるシストの飛散の検討を行ない,風によって空中を移動していることが判った。高さ1m以上の木葉上からも高率に分離された。アメ-バ同定のための標準培養法の検討の一部として温度の影響を検討した。約10〜37℃の範囲でほぼ安定した結果が得られた。しかし一部のものではこの範囲でシスト径が不安定になるものも見られた。さらにシスト化の要因についても検討したが温度がもっとも大きな要因であった。また脱シスト化については培地の成分のどれが影響を与えているか検討したが,これについてはさらに検討が必要と考えられた。現在コンタクトレンズの消毒について話題となっている過酸化水素水のシストに対する消毒効果を検討した。その結果,殺シスト用としては実用的でないと考えられた。アカントアメ-バ角膜炎の診断には病変部角膜擦過物の直接鏡検と分離培養が大事であることが,新たな3例の患者の経験より再強調された。本症の臨床所見としては初期,移行期,完成期に分けて考えるのが良いと思われた。また本症の治療としてはトリアゾ-ル系抗真菌剤の内販,ミコナゾ-ルの点眼,および病巣掻爬の3者を併用して行なうのが最も良いと考えられたが,これは新たな3症例を加えた,我々が経験した7症例の検討をもとにしたものである。
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[Publications] 石橋 康久: "我国におけるAcanthamoebaおよびAcanthamoeba keratitisの現況" 眼科. 33. 701-706 (1991)
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[Publications] 石橋 康久: "アカントアメ-バの臨床所見ー初期から完成期までー" 日本の眼科. 62. 893-896 (1991)
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[Publications] 石橋 康久: "アカントアメ-バ角膜炎の治療ー3者併用療法ー" あたらしい眼科. 8. 1405-1406 (1991)
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[Publications] 石橋 康久: "アカントアメ-バ角膜炎の診断と治療" 眼科. 33. 1355-1361 (1991)
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[Publications] 加畑 隆通: "コンタクトレンズ非装用者にみられたアカントアメ-バ角膜炎の1症例" 臨床眼科. 46. 93-97 (1992)
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[Publications] 石橋 康久: "アカントアメ-バ角膜炎と内因性真菌性眼内炎" 日本医事新報. 3535. 37-40 (1992)