1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01440091
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 克孝 東京大学, 医学部(医), 教授 (80072974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山内 たか 東京大学, 医学部(医), 教務職員 (60126018)
辻 崇一 東京大学, 医学部(医), 助手 (90124677)
佐内 豊 東京大学, 医学部(医), 助手 (40150289)
岩森 正男 東京大学, 医学部(医), 助教授 (90110022)
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Keywords | リポケラチノゲノシド / 角化過程 / 性ホルモン / スルファチド / ガングリオシド / 硫酸基転移酵素 |
Research Abstract |
各種哺乳類動物の表皮に動物種を越えて共通に観察される知見として、グルコセレブロシドの酸アミド結合脂肪酸にWーヒドロキシ脂肪酸が結合し、さらにそのW水酸基にリノ-ル酸がエステル結合した糖脂質が検出された。この構造を持った糖脂質は他の組織には全く含有されておらずまた皮膚においても真皮には検出できなかった。この糖脂質の機能を解析するためにラットケラチノサイト(FRSK)細胞の培養培地に1μMの濃度で添加したところケラチン合成と架橋酵素ドランスグルタミナ-ゼの活性が促進されることが明らかになった。そこで、この生理活性糖脂質をリポケラチノゲノシドと命名した。FRSK細胞はホルボ-ルエステルによっても角化過程が促進されるが、両者のシグナル伝達における作用を解析するために蛋白質キナ-ゼCの局在化と細胞内Ca^<2+>イオンの動員に対する効果を比較したところ、いずれも同様の活性を示すことが明らかになった。実際の表皮の角化過程においても蛋白質キナ-ゼCの活性化を引き金として角化促進活性を発揮しているものと思われる。一方、糖鎖発現の制御機構についてはヒト子宮内膜におけるホルモン依存的糖鎖変化について調べた。月経後エストロゲン刺激下で急速に増殖している時期と、排卵後プロゲステロン刺激が加わった時期を比べると、後者の時期にスルファチドが高濃度になっている現象が認められた。硫酸基転移酵素活性を子宮内膜から得た上皮細胞と非上皮細胞について比較すると上皮細胞にのみ酵素活性が検出でき、プロゲステロン依存的に上皮細胞において硫酸基転移酵素が誘導されていることが示唆された。この細胞のシアロ糖脂質含量は両期を通じて変化しないことから、細胞の陰性電荷供与基として硫酸基が付加されていることが明らかになった。硫酸基を持つ細胞は受精卵の着床期に相当することから、新たに付加された硫酸基は着床に関係していることが予想された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tamamoto,H.,Tsuji,S.,Nagai,Y.: "Tetrasialoganglioside GQlbーreactive monoclonal antibodies;Their characterization and application for quantitation of GQlb in some cell lines of neuronal and adrenal origin" Journal of Neurochemistry. 54. 513-517 (1990)
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[Publications] Kawamura,A.,KijimaーSuda,I.,Sugimoto,M.,Itoh,Takada,K.,Nagai,Y.: "A monoclonal antibody to free Nーacetylneuraminic acid" Biochimica et Biophysica Acta. 1033. 201-206 (1990)
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[Publications] Sanai,Y.,Oda,K.,Nagai,Y.: "Induction of GD3 ganglioside by adenovirus E1A gene 13Sーand 12SーmRNA products in rat 3Y1 cells" Journal of Biochemistry. 107. 740-742 (1990)
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[Publications] Nakakuma,H.,Kawaguchi,T.,Iwamori,M.,Nagai,Y.,Takatsuki,K.: "Altered expression of gangliosides in erythrocytes of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria" Journal of Clinical Investigation. 85. 1456-1461 (1990)
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[Publications] Uchida,Y.,Iwamori,M.,Nagai,Y.: "Activation of keratinization of keratinocytes from fetal rat skin with Nー(Oーlinoleoyl) hydroxy fatty acyl sphingosyl glucose (lipokeratinogenoside) as a marker of epidermis" Biochem.Biophys.Res.Commun.170. 162-168 (1990)
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[Publications] Kawamura,A.,Sugimoto,Itoh,M.,Takada,K.,Nagai,Y.: "Diacylglycerol,but not inositol 1,4,5ーtriphosphate,accounts for plateletーderived growth factorーstimulated proliferation of Balb 3T3 cells" Journal of Cellular Physiology. 140. 432-438 (1990)