1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01450064
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 康成 東京大学, 教養学部, 助教授 (10116056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 史郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (00145765)
鈴木 英夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (90109215)
原 英一 東北大学, 教養部, 助教授 (40106745)
高橋 和久 東京大学, 教養学部, 助教授 (10108102)
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Keywords | 政体 / 共和制 / 君主制 / 主権 / 革命 / 身体 / 世俗 |
Research Abstract |
(1)中世後期に関しては、主にチョ-サ-を中心に考察を更に進め、その結果「コモン・プロフィット」をめぐる伝統との関連が重要と判断し、ボエチウスあたりから連綿と続く「神学・政治論」を学際的に取り込みながら研究を進めた。中世後期におけるこの問題のあり方は、一言でいえば「世俗領域の正当化」のそれに他ならず、その際「政体」概念の「体」の部分の扱いが、キリストの受肉の問題と密接に絡んで、特に議論の的となることが分かった。(2)ルネサンス期については、いわゆる「王の二つの(神授と生得)身体」の議論を批判的に摂取し、この問題をさらに今日的な「新歴史主義」的観点から見直してみた。つまりエリザベス朝に関して「女王の二つの身体」という視点に立つことを試みたわけだが、この立場から例えばシェイクスピアの作品を見た場合、当時の受容における「主権」の問題と、我々の解釈における「精神分析」的問題との関係が極めて複雑な構造を以て新たに考究すべき課題として表われた。これに関して我々は『コリオレイナス』を例に採って若干の考察を試みた。(3)十八世紀については、新たにスコットランド啓蒙主義について考察を行い、そのことを通して、「英文学における政体論」と言った場合の「英国」が一救岩的でなく、いわば小規模な国際的次元における政体論を模索しなければならないことが認識された。(4)十九世紀については、ディケンズのみならず、トロロウプをも視野におさめて考察を進め、従来省みられることの少なかったキケロとの関係を、「共和制」、「君主制」といったイデオロギ-組成の観点から分析した。総じて、政体論の効果といった観点から英文学を見るとき、十七世紀のイギリス革命を基軸として、史的にも理論的にも、書き直すことが必要となるが、このような作業を通して得られる文学史は、従来の単なる通史を超えて、説得力あるものとなろう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 高田 康成: "トロロウプとキケロ" 『英語青年』. (1991)
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[Publications] 原 英一: "The King and the Apprentice:Writing <David Copperfield>___ー" 『試論』. 29. (1990)
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[Publications] 高橋 和久: "ある批評家の軌跡" 『ユリイカ』. no.10. (1990)