1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01450098
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculuture |
Principal Investigator |
紙野 伸二 東京農業大学, 農学部, 教授 (00167347)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 銀佐久 東京農業大学, 農学部, 助教授 (70078145)
山口 伊佐夫 東京農業大学, 農学部, 教授 (30011836)
杉浦 孝蔵 東京農業大学, 農学部, 教授 (90078105)
川名 明 東京農業大学, 農学部, 教授 (10014888)
上飯坂 実 東京農業大学, 農学部, 教授 (90011791)
|
Keywords | 社会林 / 共的管理 / 都市林 / 森林レクリエ-ション / 林業機械 / 流域管理 / 都市と山村の交流 / 環境保全 |
Research Abstract |
森林が地域社会にとっていかなる機能をもち、また地域住民が森林にいかなる期待をもっているかを明らかにすることによって、地域社会と密着度の高い森林ー社会林の立地配置と維持管理システムを提示しようとした。研究は三ケ年間継続で、林政学、林業経営、造林学、治山緑化工学、林業工学等の各線門分野の研究者を組織して、多摩川流域を主たる対象として実施された。 まず、研究の共通対象である「社会林」の課題について、各専門研究分野からの問題提起を行い意識の統一をはかった(第一章)。その上で、山村、農村、都市等の社会類型ごとに各専門分野から分担課題に即して調査研究を実施した。林業の衰退化の激しい山村社会では山村の山地化、里山の奥地化が進行し、種として経済的機能を中心に結び付いていた山村林は、施業の放置・放棄化が急速に進みつつある。その結果、地域社会による管理体制を確立するべき要請が高い(第二章)。しかも、林業近代化を進める生産基盤の整備水準も低く、かつ地形条件等が高性能機械に導入を妨げている。流域圏を対象に森林を社会的な共的な管理の下におく状況にある(第三章)。また、山村集落の定住条件を確立するためにも、小流域の治山ダムと社会林の関係を注目する必要がある(第四章)。一般に都市住民の緑に対する関心は高まりつつあり、近隣公園などでの緑の接し方は、次第に好ましい方向に展開しつつあるが、公的機関の造営物という概念で、地域社会の共的資産として主体的に管理するところまでは達していない(第六章、第七章)。ましてや、遠くはなれた上流山村にある森林レクリエ-ション利用については、ゴミ処理問題に象徴されるように下流域都市市民の社会林として概念化するには多くの問題が残されている(第八章)。しかし、森林の管理主体として地域社会を措定し住民と行政とが一体となった共的管理を進める必要がある。
|