1989 Fiscal Year Annual Research Report
含水率を評価尺度とする建築物の防湿設計法に関する研究
Project/Area Number |
01460199
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 衛 神戸大学, 工学部, 教授 (10031064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 正和 神戸大学, 工学部, 講師 (70047405)
鉾井 修一 神戸大学, 工学部, 助手 (80111938)
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Keywords | 壁体内含水率変動 / 吸放湿性状(HYGROSCOPIC) / 結露過程の模型実験 / 吸放湿を考慮した室内湿度実験 / 地盤床下空間の湿度挙動 / 木材の水分伝導率 / 室内湿度の確率性状 / 気象特性とその確率性状 |
Research Abstract |
過大な防湿設計を避け合理的な壁体、室の防湿設計を行うには、前者に対して壁体内の含水率の時間経過の予測、後者に対しては壁体の水分特性、吸放湿性を考慮した室内湿度の予測が必要であり、一方これらの記述方程式は非線形であり、設計に用いるには、適切な近似化が必要である。上述の設計法確立に必要な問題に対して以下の結果を得た。 1:松本は、(1)現象記述の簡単なHYGROSCOPIC領域とそれ以外とを区別する方法を示し線形化可能領域を明示し、それに基づき、室内湿度を年周解析し、容量一定化の可能なこと。(2)非HYGROSCOPICを含む一般的な系の擬線形化技法による線形近似法を示し、基準解を一つ求めておけば、上記の重畳和可能の線形解との和によって、壁体内含水率の非定常解は容易に得られ、含水率基準(水分ポテンシャル基準)の壁体設計ができること。(3)材料物性値の不明または測定困難な材料で構成される壁体の評価を行うための相似模型実験法、相似法則、時間短縮法(年周変化の短時間実験)を示し実験を行ってその妥当性を示した。上記(2)の結果を用いれば、数種の実験で、境界条件の変化した場合の解の予測が可能となる。(4)地下室など地盤に接する空間の挙動解析を行うために、降雨のある場合の地盤内含水率変動の計算法を吟味し、地表境界条件は降雨時でも必ずしも第一種境界条件とはならず、第3種での判定が必要なこと、この場合、BEM法は非線形性大のため殆ど適応不可である。また床下空間の年周挙動解析も行った。 2:鉾井は、(1)水分伝導率の測定法を検討し、木材について測定した。(2)気象条件の確率性状をARMAモデルで表現できることを示し、それを用いた室温湿度、熱負荷の確率過程解析法を示した。また、非線形要素である相対湿度の確率過程の解析の方法を提案し、室の温湿度性状を解析した。 3:森山は、境界条件としての建物周辺の気象要素の特性を把握するための土地被覆のリモ-トセンシングによる同定法、周辺の物質(水分も含む)分布の予測法を示した。
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[Publications] M.MATSUMOTO: "A Study of Annual Moisture Variation in Internally Insulated Building Wall under Mild Climate using a Small Scale Model and the Simirality Law" IFHP/CIB/WMO/IGU INTERNATIONAL CONFERENCE ON URBAN CLIMATE,PLANNING AND BUILDING. (1989)
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[Publications] M.MATSUMOTO: "A Numerical Analysis of Moisture Behavior in Porous Wall by Quasi-Linearized Equations" IFHP/CIB/WMO/IGU INTERNATIONAL CONFERENCE ON URBAN CLIMATE,PLANNING AND BUILDING. (1989)
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[Publications] S.HOKOI: "Statistical Time Series Models of Solar Radiation and Outdoor Air Temperature-Identification of Seasonal Models by Kalman Filter" IFHP/CIB/WMO/IGU INTERNATIONAL CONFERENCE ON URBAN CLIMATE,PLANNING AND BUILDING. (1989)
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[Publications] S.HOKOI: "An Analysis of Stochastic Properties of the Heating Load in an Intermittently Air-Conditioned Building by Optimal Contorol Theory" IFHP/CIB/WMO/IGU INTERNATIONAL CONFERENCE ON URBAN CLIMATE,PLANNING AND BUILDING. (1989)
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[Publications] M.MARIYAMA: "Salt Concentration Distribution of Atmosphere in Coastal Areas" IFHP/CIB/WMO/IGU INTERNATIONAL CONFERENCE ON URBAN CLIMATE,PLANNING AND BUILDING. (1989)
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[Publications] 松本衛: "擬線形化方程式による壁体の熱水分挙動解析(線形化方程式入力が年周期変動の場合の近似精度の検討)" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 1389-1390 (1989)
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[Publications] 松本衛: "建築壁体の熱水分性状に関する研究ー相似実験法による研究ー" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 1391-1392 (1989)
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[Publications] 松本衛: "床下空間の熱湿気性状" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 1403-1404 (1989)
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[Publications] 松本衛: "温室の熱・水分負荷の性状に関する研究ー潅水方法に関する研究ー" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 1393-1394 (1989)
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[Publications] 松本衛: "木造壁体の二次元・熱湿気性状の解析" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 1399-1400 (1989)
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[Publications] 松本衛: "室の温湿度変動及び熱負荷の性状ー壁の吸放湿の熱負荷への影響ー" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 1383-1384 (1989)
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[Publications] 松本衛: "建築材料の水分拡散特性の測定に関する研究ー木材の水分拡散係数の測定(2)ー" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 1407-1408 (1989)
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[Publications] 鉾井修一: "壁の吸放湿を考慮した室の温湿度・熱負荷の確率性状解析" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 751-752 (1989)
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[Publications] 鉾井修一: "空調システムの確率性状の解析法に関する研究" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 747-748 (1989)
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[Publications] 鉾井修一: "日射・外気温のARMAモデルによる解析(5)ーカルマンフィルタ-を用いた夏期及び冬期の日射・外気温モデルの作成ー" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 741-742 (1989)
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[Publications] 森山正和: "リモ-トセンシング・デ-タの緑地計画への応用ー(1)ピュアピクセルによるグランドトゥル-ス・デ-タ作成サブシステムーー(2)グランドトゥル-ス・デ-タのサンプリング方法の検討ー" 日本建築学会学術講演梗概集. D. 1063-1066 (1989)