1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01470130
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂田 功 九州大学, 農学部, 教授 (10038169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 光博 九州大学, 農学部, 助手 (30038301)
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Keywords | 化学修飾木材 / 高機能性材料 / シアノエチル化木材 / 誘電材料 / ラテックス / 相溶性 / 液晶性 / ファイバ-ボ-ド |
Research Abstract |
木質系材料にシアノエチル化(CE化)反応を施し,熱流動性・溶媒可溶性を付与することによって,木質系で高性能を有する材料を開発するための基礎的研究を行った.その結果,1)溶液状態では高い粘性を示す有機溶媒可溶性の化学修飾木材を微粒子状に水中に分散させる,いわゆるラテックス化することによって,溶液の場合よりも10倍高濃度な状態でもその粘度はほぼ等しいことや親油性の化学修飾木材を水媒体下で取り扱うための一つの方法であることなどを明らかにした.2)ラテックスや溶液から調製したCE化木材の皮膜は高い誘電率(1kz,20℃で約13ー14)や強度などを示し,特徴のある塗料としての利用の可能性が示された.3)CE化試料の有する化学反応性に富むCE基をさらに別の官能基に転換することによって,ノニオン性,カチオン性,アニオン性を示す各種の誘導体が容易に得られることがわかった.また,CE化木材の溶液は1価銅イオンとキレ-トを形成して分子間橋かけによりゲル化することおよびある濃度以上で液晶を形成することなども見いだされた.これらは高分量を有するウッドケミカルスの開発の点からも興味がもたれる。4)化学修飾した木質ファイバ-を熱流動させることにより,ファイバ-相互を自己誘着させる方法によって,通常の接着剤を用いず,さらに曲げ加工性やJIS規格における300タイプに匹敵する強度を有する中比重ボ-ドが得られることがわかった.5)化学修飾木材の熱可塑化.溶液化の新しい方法として酸化性を有する遷移金属塩,例えば塩化第二鉄,塩化第二銅などを添加する方法を見いだした.さらにこの方法は未処理木材の溶液化にも有効であることもわかった.6)複合材料の観点から,木材の主成分である多糖類とリグニンとの間の相溶性について検討し,両者は相溶しにくいが,この系にリグニン・炭水化物複合体を添加することによって相溶性が向上することを確認した.
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[Publications] Yukio YAMAWAKI: "Mechanical and Dielectric Properties of Cyanoethylated wood." Journal of Applied Polymer Science. 40. 1757-1769 (1990)
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[Publications] Mitsuhiro MORITA: "Preparation and Propertiesof a Cyanoethylated Wood Latex" Mokuzai Gakkaishi. 36. 659-664 (1990)
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[Publications] 坂田 功: "木質系機能性材料の新展開" 木材学会誌. 36. 1011-1018 (1990)
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[Publications] 重松 幹二: "ヘミセルロ-ス/リグニン系ポリマ-ブレンドの混和性におよぼすリグニン・炭水化物複合体添加の影響" 木材学会誌. 37. 50-56 (1991)
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[Publications] 山脇 敏幸: "シアノエチル化木質ファイバ-の熱可塑性を利用して成板する中比重ファイバ-ボ-ドの製造" 木材学会誌. 37. (1991)
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[Publications] 山脇 敏幸: "化学修飾木材および無処理木材の熱流動化・溶液化に及ぼす金属塩添加の効果" 木材学会誌,投稿予定.
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[Publications] Mitsuhiro MORITA: "Wood Processing and Utilization,(J.F.Kennedy et.al.,Eds.)," Ellis Horwood,Chichester,418 (1989)