1989 Fiscal Year Annual Research Report
旧北区に分布する無尾両生類の系統進化についての生化学的並びに分子生物学的研究
Project/Area Number |
01480031
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西岡 みどり 広島大学, 理学部・両生類研究施設, 教授 (20033813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住田 正幸 広島大学, 理学部・両生類研究施設, 助手 (10163057)
柏木 昭彦 広島大学, 理学部・両生類研究施設, 助手 (50106796)
近藤 育志 広島大学, 理学部・両生類研究施設, 助手 (00033845)
奥本 均 広島大学, 理学部・両生類研究施設, 講師 (00033879)
上田 博晤 広島大学, 理学部・両生類研究施設, 助教授 (40033865)
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Keywords | 両生類 / 無尾類 / 電気泳動 / 酵素 / 遺伝子頻度 / 固定指数 / 遺伝距離 / 系統樹 |
Research Abstract |
1.日本産ヒキガエル5亜種40集団525匹で酵素や血液蛋白質の生産に関与する22遺伝子座の遺伝子頻度をもとにして遺伝距離を求め、UPGMA法によって系統樹を作成した。その結果、ミヤコヒキガエルを除く4亜種39集団は、まず東西集団に分化し、さらにそれぞれが、各地域に適応して分化したことがわかった。 2.ヒキガエル7種6亜種23集団312匹について酵素や血液蛋白質を分析し、系統樹を作ったところ、まずB.americanus、さらにB.melanostictus、B.raddei、およびB.viridisが分岐し、残りのものからB.bufoとB.japonicusが生じ、後者が多くの亜種に分岐したことがわかった。 3.アマガエル属のうち極東に分布する近縁種3種13集団261匹について、酵素や血液蛋白質を分析して系統樹を作成した。その結果、H.Japonicaが最初に分岐し、次にH.hallowelliとchinensisを生じた。一方japonicaからKorea集団が分化した後、残りの集団がだいたい3群に分化したことがわかった。 4.ヌマガエルとその近縁種2属3種9集団97匹について、酵素や血液蛋白質を分析して系統樹を作った。その結果、Platimantis属はRana cancrivoraとR.limnocharisとが分化するよりも早く分化しており、次にRanaの2種が分化し、さらにR.limnocharisの中で、西表集団が最初に分化したことがわかった。 5.旧北区に分布するアカガエル類13種30集団468匹について酵素や血液蛋白質を分析して系統樹を作ったところ、R.latouchiは最も早く分化した別系統であり、その後R.tsushimensisとR.arvalisが分化し、さらに残り10種が2n=26と2n=24の2系統に分化したことがわかった。 6.平成2年度に行なう予定のmtDNAについては、現在トノサマガエル群について分析中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kawamura,T.,Nishioka,M.,Sumida,M.and Ryuzaki,M.: "An electrophoretic study of genetic differentiation in 40 populations of Bufo japonicus distributed in Japan" Sci.Rep.Lab.Amphibian Biol.,Hiroshima Univ.Vol.10. 1-52 (1990)
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[Publications] Nishioka,M.,Sumida,M.,Ueda,H.and Wu,z.: "Genetic relationships among 13 Bufo species and subspecies elucidated by the method of electrophoretic analyses." Sci.Rep.Lab.Amphibian Biol.,Hiroshima Univ.Vol.10. 53-92 (1990)
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[Publications] Nishioka,M.,Sumida,M.and Borkin,L.J.: "Biochemical differentiation of the genus Hyla distributed in the Far East" Sci.Rep.Lab.Amphibian Biol.,Hiroshima Univ.Vol.10. 93-124 (1990)
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[Publications] Nishioka,M.and Sumida,M.: "Differentiation of Rana limnocharis and two allied species elucidated by electrophoretic analyses" Sci.Rep.Lab.Amphibian Biol.,Hiroshima Univ.Vol.10. 125-154 (1990)
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[Publications] Kawamura,T.,Nishioka,M.and Ueda,H.: "Reproductive isolation in treefrogs distributed in Japan,Korea,Europe and America" Sci.Rep.Lab.Amphibian Biol.,Hiroshima Univ.Vol.10. 255-293 (1990)