1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01480042
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲永 忍 東京大学, 農学部付属農場, 助教授 (40124664)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 順子 東京大学, 農学部付属農場, 助手 (60191219)
鈴木 晴雄 東京大学, 農学部付属農場, 助手 (30012058)
|
Keywords | ナタネ種子 / 物質蓄積停止 / 油脂 / 物質転流経路 / 無機成分 / 光合成産物 / 穂培養 / ジベレリン |
Research Abstract |
ナタネ種子における物質蓄積の停止機構を明らかにする目的の下に初年度実験を行ない、次の結果をえた。 1.果実(莢壁と種子)の発育に伴う物質含量(炭素,タンパク質,油脂,水,カルシウム,マグネシウム,リン,カリ)の変化について調べた。これら物質(種子1粒当たり)の推移と種子1粒重のそれとの比較から、種子における物質蓄積の停止は主に篩管における物質輸送のそれによると推定された。 2.果柄の切口から吸収させた^<14>Cでラベルしたシュクロ-スの動きから、物質は果柄→莢壁→珠柄→種皮→胚のう→胚という経路で輸送されることが判明した。 3.種子の発育に用いられる炭素は主に莢壁の光合成に由来し、莢壁のみかけの光合成速度は種子での物質蓄積停止後も暗呼吸を上回わった。このことから、種子の物質蓄積停止が光合成そのものの停止によるものでないことが判明した。 4.果実内部の各種気体成分の推移を調べたが、種子の物質蓄積停止に関連すると思われる気体成分は見当たらなかった。この点に関しては本年度の実験方法に若干問題があったと考えられるので、次年度に再試する予定である。 5.開花後2週間を経た果実あるいは種子の器官培養を培養器内で試みたが、両者共に培養の途中で種子が発芽を開始してしまった。そこで次に、開花開始期の穂を培養対象とし、花軸の一部を培養器内に入れ、そこから養分を吸収させて培養したところ、種子は固体着生の場合とほとんど変わらない発育を示し、発芽もしなかった。なお、この実験系により、ジベレリンが種子の発育・肥大を著しく促進させることが判明した。
|