1991 Fiscal Year Annual Research Report
水稲個葉の光合成速度におけるヘテロス現象発現の解明に関する研究
Project/Area Number |
01480044
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Research Institution | Faculty of Agriculture, Kyushu University |
Principal Investigator |
窪田 文武 九州大学, 農学部, 助教授 (50136602)
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Keywords | 物質生産 / ヘテロシス / 光合成速度 / 水ストレス / RuBPカルボキシラ-ゼ活性 / 水稲F_1品種 |
Research Abstract |
水稲F_1品種の収量性が優れることは広く知られているが,その生産特性がいかなるものであるかについては未解明の部分が多い.本研究では,水稲の光合成・物質生産に対するヘテロシス現象の発現機構や,環境条件に対する適応特性等の解明を目的とし,材料に中国F_1品種である汕優63号と遠系交雑による育成F_1系統を用いて研究を行った.F_1品種汕優63号,育成F_1系統の葉面積および茎重の出穂までの増加は顕著であり,また,登熟期の減少は多収性品種に特徴的な現象と一致した.収量構成要素は穂数並びに1穂穎花数にヘテロシス現象が示され,栄養成長期間の光合成産物量の増加が大きく寄与していることが示唆された.個葉光合成速度もF_1品種系統で高かった.特に汕優63号では生育の後期まで高い状態が維持され,このときの暗応系のKey酵素RuBPカルボキシラ-ゼ活性も同様の傾向であり,収量性向上に有効な特性であった.次に根系の発達,機能については競合条件下で他品種との比較の結果,諸形質において,汕優63号は圧倒的な優勢を示し,光合成産物の地下部への転流量,分配率に対するヘテロシス現象の効果が示唆された.汕優63号の水ストレス抵抗性にもヘテロシス現象の効果が存在することが推察された.以上の結果より,汕優63号と育成F_1系統の生育特性や環境に対する諸反応に多くの類似性が認められ,水稲におけるヘテロシス現象発現の特徴や方向性が明らかとなった.これまでの結果をさらに明確なものとするため,F_1品種の数を増やし,F_1品種間の特性の違いについて解析した.またF_1水稲の登熟過程の糖代謝に特徴があることを確認した.さらに,特異的な生育特性をもつ親系統を用い,F_1への遺伝様式を併せて考えるべく,交雑による育成F_1系統の組合せを増やし研究を進めている.本課題は本年度が最終年度であるが,今後は得られた結果をふまえ,糖代謝,デンプン合成に関与する諸酵素の特性も解明する予定である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 窪田 文武,川内 啓明,縣 和一,片山 忠夫: "アフリカ産水稲栽培種Oryza sativa L,とOryza graberrima Steudの光合成物質生産に関する研究 第3報水稲品種日本晴との比較におけるアフリカ系統の光合成・物質生産特性" 日本作物学会紀事. 60(別1). 132-133 (1991)
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[Publications] 平尾 健二,窪田 文武,縣 和一,宋 祥甫: "水稲F_1雑種の光合成・物質生産特性に関する研究 第1報 F_1雑種の物質生産特性" 日本作物学会紀事. 60(別2). 169-170 (1991)
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[Publications] 平尾 健二,窪田 文武,縣 和一,宋 祥甫: "水稲F_1雑種の光合成・物質生産特性に関する研究 第2報 F_1雑種における個葉光合成速度およびRuBPカルボキシラ-ゼ活性" 日本作物学会紀事. 60(別2). 171-172 (1991)
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[Publications] 窪田 文武,岡野 智,縣 和一,片山 忠夫: "西アフリカ地域の水稲栽培種Oryza graberrima Steud.とOryza sativa L.の乾物生産と光合成の水耕液濃度に対する反応" 日本作物学会紀事. 61. (1992)
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[Publications] K.Hirao,F.Kubota,W.Agata: "Photosynthesis and RuBPCase activity in F1 hybrid rice plant." Asian Crop Science association. (1992)