1990 Fiscal Year Annual Research Report
生後発達に伴う腸管上皮細胞の巨大分子輸送機構の解析
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01480100
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原田 悦守 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (90001536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 善春 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (20091481)
首藤 文栄 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (60001533)
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Keywords | 消化管機能 / 巨大分子輸送機構 / 免疫グロブリン / 新生子 / 初乳含有生理活性物質 / 消化管ホルモン / 生後発達 / 二糖類分解酵素 |
Research Abstract |
新生子消化管の発育成長過程における巨大物質輸送機構を明らかにする目的で、前年度につずいて研究を進めた。 1)トリプシンインヒビタ-を哺乳ラットに反復して経口投与することによって、膵の肥大・過形成をともなって小腸上皮細胞からのIgG取り込みの抑制とマルタ-ゼ活性の上昇が認められ、この反応はCCKリセプタ-の拮抗阻害薬によって抑制されなっかった(前年度)。この反応は、副腎摘出によっても完全に改善されないこと及び皮下投与では効果が認められないことから、CCKを介さない、トリプシンインヒビタ-の腸管上皮細胞に対する直接おるいは間接的な作用機序の存在が示唆された。更に、免疫組織化学的な検索によって、トリプシンインヒビタ-はIgGの吸収にあずかる絨毛吸収上皮細胞数の減少及びそれらの吸収能の低下をもたらすことが示唆された。また、トリプシンインヒビタ-の投与期間と消化管機能の変化との関係を調べると、トリプシンインヒビタ-は、腸管機能の成熟過程を持続的作用期間に応じて促進させることが示された。 2)消化管ホルモンであるセクレチンの作用を塩酸溶液の反復投与及びセクレチンの反復投与によって調べた。内因性セクレチンを放出させる塩酸溶液の反復投与によって、IgGの取り込み能低下とマルタ-ゼ活性の増加が認められた。又、セクレチンの反復皮下投与によっても同様の変化がみとめられた。哺乳期ラットにおいても内因性のセクレチンが放出されていることは、血中のセクレチン測定(RIA)で確認された。従って、セクレチンには消化管機能の発育制御作用を有することが示唆された。 3)ミルク中に存在する生理活性物質の作用を明らかにするため、カルニチン、カゼインホスフォペプチドの反復投与実験を行ったが、際だった反応は認められなかった。しかし、ミルク中の脂肪球被覆膜成分の投与では、IgGの取り込みが用量依存性に抑制された。 4)小腸上皮細胞における巨大分子の取り込み制御機構を、in vitro系で解析するため、摘出腸管を用いた反転腸管法および非反転腸管法或いはUssing型Chamberをも試みみた。IgG,BSA,HRP等巨大分のマ-カ-は、精度のよいELISA法によって検出可能であった。しかしながら、腸上皮細胞からの巨大分子取り込み能の種特異性及び新生子消化管の発達過程における生理活性物質の作用を解析するには、培養法を含めて、更に標本の改善が必要であった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] H.KIRIYAMA,E.HARADA & B.SYUTO: "Analysis of Colostral Proteins in Calf Serum by Enzyme Linked Immunosorbent Assay." Journal of Dairy Science. 72. 398-406 (1989)
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[Publications] E.HARADA: "Intestinal Cessation of Macromolecular Transmission by Insulin in the Suckling Rat." Japanese journal of Physiology. 39. S261 (1989)
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[Publications] E.HARADA,Y.HASHIMOTO & B.SYUTO: "Epidermal Growth Factor Accelerates the Intstinal Cessation of Macromolecular Transmission in Suckling rat" Comparative Biochemistry & Physiology. 97A. 201-204 (1990)
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[Publications] E.HARADA & B.SYUTO: "Precocious Maturation of Intestinal Function induced by Oral Administration of Trypsin Inhibiton in Suckling Rats" Japanese Journal of Physiology. 40. S85 (1990)
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[Publications] E.HARADA & B.SYUTO: "Precocious Cessation of Intestinal Macromolecular Transmission induced by Insulin in Adrenalectomized Rat" Comparative Biochemistry & Physiology. (1991)
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[Publications] E.HARADA & B.SYUTO: "Precocious Alteration of Digestive Enzyme Activities in small Intestine and Pancreas by Chronic Oral Administration of Protease Inhibitor in Suckling rats." Comparative Biochemistry &.Physiology. (1991)
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[Publications] E.HARADA,Y.HASHIMOTO & B.SYUTO: "Synthetic Trypsin Inhibitor Influences Macromolecular Absorption from Small Intetine in the Suckling rats." (1991)
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[Publications] E.HARADA,Y.HASHIMOTO & B.SYUTO: "Gut Peptides Related with Precocious Maturation of Intestinal Function in Suckling Rats." Proceedings:XXIV WORLD VETERINARY CONGRESS. (1991)