1990 Fiscal Year Annual Research Report
再生神経の成長・分化のメカニズムと細胞外マトリックスの役割ーモノクロ-ン抗体による組織化学的検索ー
Project/Area Number |
01480111
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井出 千束 神戸大学, 医学部, 教授 (70010080)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 稿二郎 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (10129033)
藤本 悦子 神戸大学, 医学部, 助手 (00107947)
三木 明徳 神戸大学, 医学部, 助教授 (20144561)
|
Keywords | パチニ小体 / モノクロ-ン抗体 / 細胞間物質 / 外棍細胞 / 内棍細胞 / 軸索終末 |
Research Abstract |
ネコの腸間膜から100〜200個のパチニ小体を集めて抗原抽出液中でホモジェナイズし、さらに超音波処理したものを抗原としてBalb/cマウスの腹腔内に注射した。2週おきに3回同じ抗原を注射し、最終免疫の3日後に脾臓を取り出してミエロ-マ細胞(Ag8)と細胞融合させた。今までこの方法によって2種類の抗体が得られ、我々はそれらをPC13とPC92と名づけている。いずれもIgG_1である。まずPC13について:この抗体の局在を免疫電顕法(HRP標識)によって検索すると、パチニ小体の外周に近い外棍細胞の細胞質を染めることが分った。外棍細胞以外では、外棍細胞間にあるマクロファ-ジと血管周囲の線維芽細胞が染った。しかし血管の内皮細胞は染らなかった。神経周膜細胞は一般に染らなかった。これらの所見は、PC13が線維芽細胞系の細胞質にある抗原を認識していること、パチニ小体の外棍細胞の一部が線維芽細胞の系列に属することを示している。PC13の認識する物質は80KD程度の分子量をもつ。一方PC92は免疫電顕で外棍細胞の周囲の細胞間物質、特に基底膜を染めることが分った。また内棍細胞の細胞間基質にも一部陽性反応がみられた。他の関連する組織例えば神経周膜細胞やシュワン細胞の基底膜には明らかな反応が見られなかった。この抗体の認識する抗原物質は50KD程度である。 以上、2つの抗体についてさらに生化学的分析を加えたが上の所見以外の詳しい点はまだ明らかになっていない。今後はこの2つの抗体を精製し、認識する抗原物質が何かを調べ、その局在についてさらに詳しい検索をする必要がある。ただ当初の目的であった内棍の細胞間物質に対するはっきり特異的といえる抗体はとれなかった。やはり内棍は抗原として量が少なすぎるためであると思われる。
|