1991 Fiscal Year Annual Research Report
環境要因の生体影響への遺伝の関与に関する研究(高発がん性遺伝病の研究)
Project/Area Number |
01480202
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Research Institution | Dept. of Maternal and Child Health, Univ. of Tokyo |
Principal Investigator |
日暮 眞 東京大学, 医学部(医), 教授 (00010223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 純夫 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (70114361)
高田谷 久美子 東京大学, 医学部, 教務職員 (20125983)
織田 正昭 東京大学, 医学部, 助手 (20160872)
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Keywords | 高発がん性遺伝病 / ダウン症候群 / 変異原 |
Research Abstract |
環境要因の人体影響に遺伝的要因がどのように関与しているかの研究は、DNA損傷と、その結果としての突然変異及びがんについての解明が進みつつある。染色体異常は、それ自体量的に把握することのできる遺伝物質の変化であり、発がん機構とも関連が深い。そこで、本研究では、染色体異常を伴う先天異常があり、特異な免疫機能をもち、老化の早い遺伝性高発がん疾患群の患児集団より得た細胞、ならびに常染色体性遺伝様式(優性及び劣性)を有する神経皮膚症候群で、高発がん疾患群の患児より得た細胞を用いて、(1)環境因子曝露の影響を末梢リンパ球の染色体異常、姉妹染色分体交換(SCE)、細胞分裂能、遺伝子突然変異率等の遺伝影響と発がんに直接関連のある重要な変化を指標としてとらえる、(2)年齢及び遺伝要因との交絡について定量的検討を加える、等の検討を行った。 新生児期に黄疸のため光線療法(blue lightとgreen light)を施行したダウン症児由来培養リンパ球におけるSCEについて、照射線量に対する量一効果関係の検討を行った。検討はin vivoとin vitroと両系について行ったが、前者においては正常対象との間に有意差が認められなかった。in vitroでは、正常対象・ダウン症いずれの群も照射時間の増加に伴い、SCE頻度に有意な上昇がみられた。blue lightとgreen light両光源の比較では、正常対象では差が認められなかったが、ダウン症児群ではgreen lightの方がblue lightに比してSCE頻度が低い傾向がみられた。blue lightの方がgreen lightに比して、一般に細胞毒が強いといわれるところから、高発がん性遺伝病の一つであるダウン症由来細胞は変異原に対し感受性が高いことが示唆された。なお、同様の検討をレックリングハウゼン病由来細胞について検討したが、個体差が著しくみられた。その理由に関しては、今後変異原を種々変えて検討してみたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Higurashi,M.et al.: "Livebirth prevalence and followーup of malformation syndromes in 27,472 newborns" Brain and Development. 12. 770-773 (1990)
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[Publications] 日暮 眞: "胎児治療と倫理" 産婦人科治療. 63. 383-388 (1991)
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[Publications] Iijima,K.,Higurashi,M.et al.: "SCE frequency in human and simian lymphoid cell lines infected with simian retroviruses closely related to human Tーcell leukemia virus typeーI" Yamanashi Med.J.6. 31-37 (1991)
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[Publications] 織田 正昭: "高層住宅と子ども" 公衆衛生. 55. 312-316 (1991)
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[Publications] Fukuoka,H.,Higurashi,M.et al.: "Heterogeneity of serum and amniotic fluid prolactin in humans." Horm.Res.35. 58-63 (1991)
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[Publications] 日暮 眞 (分担): "臨床遺伝学" 診断と治療社, 300 (1991)