1989 Fiscal Year Annual Research Report
母乳中の成長因子の存在とその生理学的意義に関する検討
Project/Area Number |
01480256
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
黒梅 恭芳 群馬大学, 医学部・小児科, 教授 (40008280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 宏 群馬大学, 医学部・小児科, 講師 (10008295)
長島 完二 群馬大学, 医学部・小児科, 助手 (00164418)
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Keywords | 母乳 / Insulin-like growth factor-I |
Research Abstract |
RIA活を用いて、ヒト母乳中のInsulin like growth factor I(TGF-I)濃度及びNeuro poptide Y(NPY)を測定し、在胎期間や児の成熟度などとの間に関連性を有しているか否か、また牛乳や粉乳中のIGF-1濃度、NPY濃度との比較につて検討した。 試料は、30母体から採取した72検体である。母乳は児出生後11日までの間に採取した。正常児娩出母体は18例、低出生体重児分娩出母体は12例である。IGF-I濃度は、酸エタク-ル摘出を行ったのちにRIA活にて測定し、以下の結果を得た。 (1)HDLCによる摘出液の各分画におけるIGF-IのRIA活性は、標準IGF-Iに一致した。 (2)月令3から11までの期間において、正常児娩出母体と低出生体重児娩出母体の母乳中IGF-I濃度は、群内においても、群間においても有意の差はみられなかった。 (3)母乳中IGF-I濃度を在胎児数別に分けても、満期産母体と早期産母体との間に統計学的に有意の差はなく、同群内における有意の変動もみられなかった。 (4)母乳にくらべ、牛乳や粉乳ではきわめて低値を示した。 (5)母乳中および牛乳や粉乳中には、NPYの存在は認められなかった。 以上の結果から、母乳中IGF-Iの生物学的意義については不明なものの、母乳栄養の特徴の一面が明らかにされた。今後は、その生物学的活性の検討や消化管に対する作用についての検討が必要と考えられた。
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