1989 Fiscal Year Annual Research Report
毛髪による治療的薬物モニタリングの方法論の確立:服薬状況把握への応用
Project/Area Number |
01480501
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
植松 俊彦 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (50151832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 悟 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10198319)
中島 光好 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00092982)
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Keywords | 治療的薬物モニタリング / 毛髪 / 服薬状況 / ハロペリド-ル / ハロペリド-ル還元体 / HPLC |
Research Abstract |
抗精神病薬ハロペリド-ルを長期間確実に服薬している精神病患者59名から、毛髪及び朝の投薬前の血漿を採取し、それぞれに含まれるハロペリド-ル濃度をラジオイムノアッセイ法にて測定した。ハロペリド-ル投薬量と血中濃度とは相関しなかったが、投薬量と毛髪中濃度とは良く相関した。従って、投薬量を知る上では毛髪は血液より良い指標であると考えられた。又、同じ角化組織である爪の中に含まれるハロペリド-ル量も投薬量と比例したが、重量当りの含量は毛髪の1/10以下であった。白髪混じりの患者において、同一患者より得られた白髪中と黒髪中のハロペリド-ル含量を比較すると、白髪中からは殆ど検出されず、ハロペリド-ルの毛髪中への移行と毛色素メラニンとの関係が示唆された。このことは、白色ラットと有色ラットを用いた動物実験においても確かめられた。即ち、毛成長を促すため背部の毛を予め抜いておいた白色及び有色ラットに三濃度のハロペリド-ルを2〜3週間腹腔内へ投与し、抜毛した部位に新たに生えてくる毛髪を採取し、毛中ハロペリド-ル含量を測定比較した。血中のハロペリド-ル濃度には白色・有色ラット共に差がなかったにも拘らず毛髪中の薬物濃度は十倍〜数十倍高いことが判り、ヒトでのハロペリド-ルとメラニンとの密接な関係を示唆するものであった。更に高感度で、代識物も同時に測定できるように高速液体クロマトグラフィ-と高感度の電気化学検出器を用いて、ハロペリド-ルとその主要代識物ハロペリド-ル還元体を同時測定するシステムを開発した。これによって一本の毛髪を根元から1cmずつに切り分けて、それぞれの部位に含まれるハロペリド-ルと還元体を同時に測定できるようになった。即ち毛髪の成長速度を1ヶ月に1cmと仮定すると、その患者の1ヶ月毎の過去の服薬歴が推定できることが判った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Uematsu: "Human scalphair as evidence of individual dosage history of haloperidol:method and retrospective study" European Journal of Clinical Pharmacology. 37. 239-244 (1989)
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[Publications] R.Sato: "Human scalp hair as evidence of individual dosage history of haloperidol:prospective study" Therapeutic Drug Monitoring. 11. 686-691 (1989)
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[Publications] T.Uematsu: "Human scalp hair as evidence of individual dosage history of haloperidol:a possible linkage of haloperidol excretion into hair with hair pigment" Archiv.Dermatological Reseach.
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[Publications] H.Matsuno: "The measurement of haloperidol and reduced haloperidol in hair as an index of dosage history" British Journal of Clinical Pharmacology.