1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01510042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畑山 俊輝 東北大学, 文学部, 助教授 (90048801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩 岩手大学, 保健管理センター, 助教授 (20174625)
清水 加代子 東北大学, 医療技術短期大学部, 助手 (40091699)
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Keywords | 実験痛 / 痛覚閾 / 血流速 / 皮膚温度 / 脳波 / 一般活動性 / SHR / 痛覚計 |
Research Abstract |
研究全体のねらいは、刺痛閾値時間を指標とする場合に認められてきた、刺激の反復提示により生じる反応馴化について、その仕組みを明らかにする点にある。本年度は、収集した資料の整理と補充実験をおこなった。 (1)刺激の反復提示により生じる反応馴化について、筋電図を利用した痛反応時間法により収集した資料を検討した。これにより反応時間内での皮膚温変化の程度を確定することができた。反応時間は、当初予想された長さよりはるかに短く、それは約400msec以内であることを確定した。この時間内で生じる皮膚温度上昇はわずかであり、従って、反応馴化により生じるより大きな温度上昇を説明できないことを確認した。 (2)末梢性要因のうち、測定部位の血流速成分を検討した。つまり、末梢皮膚温の影響が血流速に反映されると推定した。血流速は、上腕動脈より導出した。これとともに末梢の血流量を同時記録して、血液成分が痛みの知覚に及ぼす効果を検討した。しかし、測定技法上の問題もあり、最終的な結論を得ていない。 (3)痛みの知覚には認知的要因が強く関与していると判断されるので、嫌悪刺激に対する予期や構えの効果を輻射熱刺激の場合で検討した。脳波指標を用いて調べたところ、痛知覚を喚起する刺激事態では、α波帯域のパワ-値が減少する傾向を認めた。単に高い刺激強度にのみこの傾向が見られるだけではなかった。 (4)自律神経機能が痛反応の閾値におよぼす影響を動物実験により検討した。高血圧自然発症ラットを用いた。正常ラットと比べて閾値が高い傾向を認めた。一般活動性との関連を明らかする試みを継続しておこなっている。 このような研究から、痛閾値は末梢性の要因とともに、認知的な要因や自律神経性要因によっても大きく変動する可能性のあることを指摘した。
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[Publications] 畑山 俊輝: "An examination of pain reaction time to radiant heat with the time method using forearm EMG"
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[Publications] 田多 英興: "自律系反応と瞬目活動" 精神科診断. (1992)
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[Publications] 畑山 俊輝: "Is locomotor hyperactivity related to its hypoalgesic response in the spontaneously hypertensive rat"
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[Publications] 畑山 俊輝: "痛みとその情動的性質へのアプロ-チ" 文化. 54. 224-245 (1991)
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[Publications] 清水 加代子: "Variation in time threshold of experimental pain:its relation to attention distraction" Tohoku Psychologica Folia. 49. 97-105 (1990)
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[Publications] 山口 浩: "実験的ストレス状況下における自発脳波への音楽の効果" 岩手大学保健管理センタ-紀要. 18. 7-21 (1991)
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[Publications] 佐藤 愛子: "痛みの話:生活から 治療から 研究から" 日本文化科学社, 237 (1991)
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[Publications] 朝長 正徳,佐藤 昭夫(編): "ストレスの仕組みと積極的対応" 藤田企画出版, 443 (1991)