1991 Fiscal Year Annual Research Report
老年期の自殺とその家族的背景に関する社会病理学的研究
Project/Area Number |
01510114
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
松本 寿昭 大妻女子大学, 家政学部, 助教授 (00095481)
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Keywords | 自殺 / 葛藤 / 社会病理学 / 自己破壊行動 / 孤独 |
Research Abstract |
平成3年度は、本研究の最終年度にあたっているため、主として、過去2ヶ年にわたって実施した実態調査の集計と解析を平成2年度に続き行った。また、収集した資料の整理と検討を行った。さらに、本研究全体のまとめを行った。 平成元年度、2年度の研究結果に加え、本年度は、高自殺率地域と低自殺率地域の比較、高自殺率地域における自殺老人と一般老人の比較検討をそれぞれ行った結果、自殺老人にみられる次のような特徴が明らかになった。 1.家族および世帯の状況について 対象地域の老年期の自殺は、多世代同居世帯内でより多く発生しているが、一般老人および低自殺地域の一般老人に比べると、配偶者を欠くなど、不完全直系家族が多く、世帯規模もやや小規模である。 2.個人生活の状況について 全体的な傾向として、自殺老人には、「身体」や「気分」の面では病弱であったり、元気さを欠く者が多く、また現在の生き方に影響を与えた者および親からの教えに対する評価が低く心のよりどころが見い出せず、しかも「自罰的」、「他罰的」な傾向が顕著であった。 3.家族生活の状況について 同居志向が強いこと。家族内での頑固さ、柔軟性の欠如、伝統的な家意識が強いことなどの特徴が明らかになった。一般老人には、伝統的な家意識には必らずしも拘らないとする傾向が認められた。 4.自殺について 高自殺率地域における「自殺容認の文化」が低自殺率地域との比較により確かめられたこと。
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