1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550056
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Research Institution | Kanazawa University, Faculty of Technology |
Principal Investigator |
山田 良穂 金沢大学, 工学部, 講師 (20126626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒部 利次 金沢大学, 工学部, 教授 (60019742)
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Keywords | 高分子薄膜 / RFスパッタリング / AE信号 / ESCA / 引っかき試験 / 摩擦耐久性 / 引っ張り法 / 付着強度 |
Research Abstract |
(1)RFースパッタ装置(SBRー1104E,ULVACーKK製)を使用し、PTFEフィルム(0.1mm厚)を接着した銅電極(φ100mm)タ-ゲットをArガスを用い、放電時圧力と電力を変えてスパッタして基板(ガラス、銅、ニッケル)上に成膜し、膜の表面状態をSEMにより観察し、また化学構造をESCAにより分析した。スパッタ膜の組成(F原子/C原子)は、約1.45であり、バルクPTFEの2.05より小さく、F原子が減少する。また、スパッタ膜のC_<1s>スペクトルはブロ-ドで、4成分(P_0、P_1、P_2、P_3)の重畳したスペクトル構造を示し、ケミカルシフトを検討して分子構造を推定した結果、スパッタ膜では分子鎖末端、分枝鎖(P_1成分)、分子間架橋(P_2、P_3成分)が多数存在する。このようなスペクトル構造は成膜条件に依存し、放電時圧力の増加でP_1成分が増加し、P_2,P_3成分が減少するが、投入電力の増加では逆にP_1成分は減少する。(2)定荷重繰り返し引っかき試験,及び荷重増加形単一引っかき試験において、膜の損傷過程とAE信号、摩擦力の変動との対応関係があり、AE信号の検出により簡便迅速に膜損傷を検出できる。(3)Ni基板上の膜の摩擦耐久性(繰り返し引っかき試験での膜損傷発生の臨界回転数)がCu基板上の膜のそれよりもよく、基板種の影響が見られる。また、単一引っかき試験による破断剥離の臨界荷重はCu基板上の膜の方がNi基板上の膜より大きいが、両基板で破断剥離モ-ドに差異が見られ、基板の硬度差の影響の影響がある。成膜条件の影響としては、摩擦耐久性、臨界荷重とも高電力、低圧力で成膜した膜において大きい。(4)引っ張り法による膜面及びバルクPTFE表面と金属蒸着膜との付着強度は、Au以外の場合、スパッタ膜面ではバルク表面でより増加し、付着強度の値とその増加はAu、Al、Cu、Cr、Niの順に大きい。また、低圧力で成膜した膜の付着強度が大きい。膜の機械的強度、付着強度に関する以上の結果は、膜の分子構造の変化に起因する。
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Research Products
(1 results)