1989 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギ-圧縮用水コンデンサ-の過冷却状態の生成と電気的特性に関する研究
Project/Area Number |
01550212
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
酒井 洋輔 北海道大学, 工学部, 助教授 (20002199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 聡 北海道職業訓練短期大学校, 教官
金子 良松 北海道大学, 工学部, 助手 (90001271)
田頭 博昭 北海道大学, 工学部, 教授 (10001174)
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Keywords | パルスパワ- / 水コンデンサ- / 過冷却水 / 凍結温度 / スペ-サ効果 / 電場・磁場効果 / 誘電率 |
Research Abstract |
パルスパワ-技術において、電気エネルギ-を空間的・時間的に圧縮するためのエネルギ-圧縮用コンデンサ-が不可欠である。これにはコンパクト化の観点から誘電率の大きな水(比誘電率80)が最適と考えられる。水の誘電率は温度が下がる程大きくなるが、0℃以下になると水は一般に凍結し、クラック等の発生により絶縁耐力が急減する。本研究では、0℃以下でも流体状態を維持する過冷却水を使用する際の基礎として、これの生成、維持方法、及び熱力学的、電気的(誘電率、破壊電界)特性を明らかにする。研究成果を次に要約する。 1.過冷却水の物性を解明するため、数mm程度のガラス製スペ-サに挟めた水を冷し凍結温度Tcを測定した。Tcは不純物の多く含まれた水道水では、-5〜-10℃間で大きくばらつくが、蒸留とイオン交換膜を通した水(導電率が1μS/cm以下)では、-11〜-15℃程度に低下しそのばらつきも減少した。 2.スペ-サ材質は表面に親水基をもつガラスより、疎水基をもつPVCPやMMAを使用した場合の方が、Tcは3℃程度低下した。 3.純化した水に電場・磁場を印加すると凍結温度は更に2〜3℃低下した。1.と2.の効果は、不均質核生成要因が少なくなるためであり、また3.の効果は、水の構造が電場・磁場に束縛される(水は大きな双極子モ-メントをもち、弱いが反磁性を示す)ことによりTcが低下するものと考えられる。 4.比誘電率は、過冷却状態になると温度低下に対して通常の水よりも急速に上昇する。今後、上記メカニズムの解明、過冷却水の絶縁破壊電界の測定、更に容器を用いないでも使えるように水をゲルに含水させたものの過冷却特性を研究する計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 酒井洋輔: "水の過冷却状態の生成とその特性" 電気学会(放電絶縁材料)合同研究会試料. ED-89-150,EIM-89-105. 31-38 (1989)
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[Publications] 中村知臣: "水の過冷却状態の生成とその電気的特性" 第25回応用物理学会北海道支部学術講演会講演予稿集. 34 (1990)
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[Publications] 中村知臣: "水の過冷却状態の生成とその電気的特性(3)磁場効果と誘電率" 電気学会全国大会講演予稿集. (1990)
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[Publications] 酒井洋輔: "水の過冷却状態の生成とその特性(I)-スペ-サ間隙および電界効果-" 電気関係学会北海道支部連合大会講演予稿集. 207 (1989)