1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01550229
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤田 成隆 八戸工業大学, 工学部, 助教授 (80105543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能登 文敏 八戸工業大学, 工学部, 教授 (20006612)
類家 光雄 八戸工業高等専門学校, 助教授 (10042128)
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Keywords | 放射線化学 / 耐熱性高分子 / 絶縁劣化 |
Research Abstract |
本研究は、γ線を照射したフィルム状の耐熱性有機材料の物理化学的特性をX線回折、陽電子寿命スペクトル、赤外線吸収スペクトル(IR)、電子スピン共鳴吸収スペクトル(ESR)及び電子顕微鏡写真(SEM像)により調べ、また、同時に、残留電圧、伝導電流及び絶縁破壊強度など電気絶縁特性についても調べ、放射線による絶縁劣化について総合的に検討した。耐熱性有機材料としてフッ素系樹脂のFEPとPFA,芳香族系樹脂のPEEKとポリイミド、それに熱硬化性樹脂の充てん剤入りエポキシ樹脂を用いた。また、γ線の線量は0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.5、2MGy及び5MGyの8種類とした。 FEPとPFAのフッ素系樹脂は、ESRの結果から線量の増加とともにフリ-ラジカル量が増えていくことがわかり、更に、IRの結果からは0.05MGyから0.2MGyにかけて分子切断による酸化が起こっていることが明らかになった。また、FEPとPFAの伝導電流は線量とともに増大し、絶縁破壊強度は線量とともに低下することがわかった。従って、フッ素系樹脂の場合、放射線によって酸化劣化が生じ、そのため電気絶縁特性が低下したと考えられる。次に、PEEKとポリイミドの芳香族系樹脂の場合は、種々の分析結果から0〜5MGyまで構造の変化がほとんど起こらないことがわかり、更に、残留電圧など電気絶縁特性の変化もほとんど見られなかった。一方、充てん剤入りエポキシ樹脂は0〜0.5MGyまで電気絶縁特性はほとんど変化しないが、2MGyでは多少低下する傾向があった。 以上をまとめると、フッ素系樹脂は線量0.05MGy付近から電気絶縁特性は低下するが、ベンゼン環を持つ芳香族系樹脂は高線量5MGyまで特に変化はなかった。また、3次元構造を持つ充てん剤入りエポキシ樹脂は、2MGyで特性が多少低下することがわかった。
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