1989 Fiscal Year Annual Research Report
汚濁湖沼水の生物膜処理におけるカビ臭生成微生物エコテクノロジ-を活用した制御
Project/Area Number |
01550432
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
須藤 隆一 国立公害研究所, 部長 (70109916)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細見 正明 国立公害研究所, 主任研究員 (90132860)
渡辺 信 国立公害研究所, 主任研究官 (10132870)
相崎 守弘 国立公害研究所, 主任研究官 (20109911)
森 忠洋 島根大学農学部, 教授 (20166359)
稲森 悠平 国立公害研究所, 主任研究員 (10142093)
|
Keywords | Trithigmostoma cucullulus / Phormidium tenue / カビ臭生成糸状藻類 / 生物膜法 / 2ーMIB / ガスクロマトグラフィ- |
Research Abstract |
本研究は、(1)汚濁湖沼水を処理している生物膜法の施設からカビ臭を分解する細菌、菌類、原生動物および微小後生動物の分離培養を行い、最適培養条件を明らかにすること、(2)汚濁湖沼水よりカビ臭を産生する微生物の分離培養を行い、2ーMIB、ジオスミン等のカビ臭産生能の違いを明らかにすること、(3)分離培養に成功したカビ臭産生微生物とカブ臭分解微生物との二者培養を行い、カビ臭分離能の高い微生物の種類を明らかにすると同時に、それらの種のカビ臭産生微生物に対するカビ臭分解微生物の選択的特異性を明らかにすること、および(4)カビ臭産生微生物の懸濁液を基質とし、回分培養槽において各種の組み合せによるカビ臭分解微生物を培養し、最大のカビ臭分解能の達成可能な種の組み合せの条件を明らかにすることなどを目的としているが、本年度は、カビ臭生成糸状藻類を捕食する原生動物Trithigmostoma cucullulusに着目し、T・cucullulusの消化機構、特に食胞のpH領域を明らかにし、かつpHと2ーMIBの分解との関係を明らかにするための研究を主として行った。得られた成果は以下に示す通りである。(1)T.cucullulusの食胞内pHは、酸性側で3、アルカリ側で8程度の範囲で変化することが、コンゴ-レットとニュ-トラルレッドを用いた生体染色法でわかった。(2)2ーMIBの酸による分解能は、pH4以下で非常に高く、pH5を越えると分解能が著しく低下すること、及び2ーMIBの酸による分解能は高温であるほど、また酸との接触時間が長いほど高まることが、SE30をカラム充填剤として用いたガスクロマト解析により明かとなった。(3)T.cucullulusはカビ臭生成糸状藻類Phormiduim tenueを捕食した後、強酸側の食胞内において2ーMIBを分解していることがわかった。(4)カビ臭物質を分解する細菌および微小動物を数種類の分離、培養、保存法について明らかにできた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] R.Sudo,Y.Inamori,Y.Kuniyasu and T.Ouchiyama: "Predation and deodorization of musty oder・producing filamentous algae by the protozoa Trithigmostoma cucullulus" Water Science and Technology. 21. 1743-1746 (1989)
-
[Publications] 須藤隆一,稲森悠平,杉浦則夫: "水環境におけるカビ臭の生成" 臭気の研究. 20. 40-50 (1989)
-
[Publications] 稲森悠平,須藤隆一,大内山高広: "生物膜法による汚濁湖沼水浄化における微小動物の役割" 環境技術. 18. 1-4 (1989)
-
[Publications] 須藤隆一,松重一夫,杉浦則夫: "用水におけるカビ臭とその除去" 工業用水. 27-36 (1990)
-
[Publications] Y.Inamori,Y.Kuniyasu R.Sudo and M.Koga: "Recent advances in Microbial ecology(Role of ciliated protozoa in control of the growth of filamentous microorganisms" Japan Scientific Societies press, 724 (1989)
-
[Publications] 須藤隆一,杉浦則夫: "水の生物学的着臭機構" 恒星社厚生閣, 114 (1989)